【生肉转载】Febri TALK系列——矢野茜

取材・文/岡本大介 撮影/松本祐亮


①小説で読んだ光景が「画」になる衝撃

『機動戦士ガンダムSEED』

『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』や『弱キャラ友崎くん』『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』など、数々の作品でキャラクターデザインや総作画監督を務め、可愛らしくも魅力的なキャラクターを生み出し続けるアニメーター・矢野茜が選ぶアニメ3選。連載第1回は、中学生のときに出会い、アニメーションの持つ「表現力」に衝撃を受けたという『機動戦士ガンダムSEED(以下、SEED)』。


小説から入ったオタクへの第一歩

――3作品を挙げてもらいましたが、時系列順に話を聞かせてください。まず『SEED』ですが、当時の矢野さんは中学生くらいですね。

矢野 はい。ただ、リアルタイムでテレビ放送を見ていたわけではなくて、じつはアニメよりも先に『SEED』の小説から入ったんです。


――それは珍しいですね。

矢野 中学に入って初めてできた友達が、全5巻の小説版を貸してくれたんです。それまで小説ってほとんど読んだことがなかったので「小説かぁ……しかもガンダム?」と思いました。でも、その友達ともっと仲よくなりたかったし、その子が楽しいと思うことを共有したいという一心で読み始めて。今思うと、それが私のオタクへの第一歩でしたね。


――読んでみていかがでしたか?

矢野 面白かったです。ですが、どんな攻撃をしているのかがなかなか想像しにくくて。たとえば「何ミリのバルカン砲が……」みたいに書いてあっても、そもそもバルカン砲がどんなものなのかわからない。ただ、挿絵があったので、それに助けられました。なので、私の場合、キラ(・ヤマト)やアスラン(・ザラ)のビジュアルは、小説のイラストで最初にインプットされました。


――その後、アニメを見たんですね。

矢野 はい、少し経ってから友達の家に遊びに行って、録画してあったものを一緒に一気見したんです。そこで初めて「あ、バルカン砲ってこういう武器だったんだ!」とか、文章を読んで想像するしかなかったいろいろなシーンが絵としてストレートに描かれていて、感動しました。アニメーションの面白さや表現の伝わりやすさに衝撃を受けた作品ですね。それをきっかけに、どんどん他のアニメを見るようになっていきました。


鬱展開に「ぞくぞくした」中学生時代

――『SEED』は戦争の話ですから、キャラクターが死んだり、鬱々とした展開もありますよね。中学生の矢野さんは、そのあたりはどう感じていましたか?

矢野 それがですね、すごくぞくぞくしたんです(笑)。中学生くらいの多感な時期って、そういったドロドロしたものだったり、自分の周りにはない空気感に触れることが、大人に近づいているような気がして。主人公がどんどん不遇になっていく展開も「かわいそうだけど、でもぞくぞくする」と思って楽しんでいました(笑)。


――ちょっとSっ気があるんですか?(笑)

矢野 (笑)。いえいえ、リアルに共感するというよりは、ファンタジーやエンタメとして捉えていたので「ギリギリで生きていってほしいな」という感じで楽しんでいたんだと思います。同じ頃に『ひぐらしのなく頃に』にもハマっていましたから、ちょっとダークな作品にのめり込んでいた時期だったんです。


――好きなキャラクターはいましたか?

矢野 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY(以下、DESTINY)』になっちゃいますけど、アウル・ニーダとかシン・アスカのような、やんちゃなキャラが好きでした。でも、特定の誰かが好きというよりは、作品全体が好きで「箱推し」に近い感じでしたね。

――当時、『SEED』のキャラクターを描いたりしましたか?

矢野 描いていましたね。私は小学生の頃からずっと女の子の絵ばかりを描いていたんです。でも、『SEED』にハマったときは男性キャラも描いてみようかなって一時期チャレンジしたんですけど、気づけばラクス・クラインとか、女の子ばかり描くようになっていました。


――『SEED』は好きだけど、男性キャラが好きというわけではないんですね。

矢野 男性キャラで推しはいなかったですね。メカがかっこよかったのと、あとはやっぱり女性キャラが可愛らしくて好きでした。長い髪の子が好きなので、いちばん好きなのはラクスで、あとはマリュー・ラミアスも好きでしたね。ただ、それは大人の恋愛模様とかではなく、「マリュー=三石琴乃さん」というところにすごくハマってしまって、年上のお姉さんとしてかっこいいなと憧れていました。


時を経て再会した『FREEDOM』

――2024年に公開された劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(以下、FREEDOM)』は見ましたか?

矢野 見ました! しかも、先ほど話した小説を貸してくれたお友達と一緒に見に行ったんですよ。


――それはエモいですね!

矢野 そうですよね。「中学生のときに見ていたアニメの続きが、この歳になって見られるなんて!」って。アニメ業界に入ってからは、なかなか純粋にはアニメを楽しめなくなっていたんですけど、そのときばかりは完全に中学時代に戻った感覚があって、もう最高でした。


――大人になったキラたちを見て、どんなことを感じましたか?

矢野 中学生のときに見ていたキラはすごく子供っぽかったのに、『FREEDOM』のキラは精神的にだいぶ大人になっているじゃないですか。映画を見ているときは中学生の感覚に戻っていたので、そこはちょっとだけ寂しさも感じました。「ひとりだけ先に大人になりやがって」みたいな。


――映画のあとは、お友達と感想を語り合ったり?

矢野 はい。そのままスーパー銭湯のコラボに行きました。ガンダムとコラボしているお湯に浸かりながら語り合って、コラボメニューを食べながら「また鑑賞会しようね」って。今は作品にそこまでハマることがなかなかないので、本当に久しぶりに純粋な「オタ活」ができて、すごく楽しかったです。


②無意識のうちに踏襲していた「美学」

『ef - a tale of memories.』

アニメーター・矢野茜が選ぶアニメ3選。連載第2回は、高校生時代にリアルタイムで視聴し、映像や音楽、演出の美しさに魅了されたという『ef – a tale of memories.(以下、ef)』。のちにアニメーターとしてキャリアをスタートさせる彼女にとって、自身のクリエイティブの中核ともいえる大きな出会いだった。


シャフトの映像美と音楽に魅了されて

――2作目は、高校時代にリアルタイムで見ていた『ef』ですね。

矢野 私がシャフトさんの作品に初めて出会ったのがこの『ef』でした。それまで見ていたアニメとは演出が全然違っていて、映像の粒子感とか撮影処理が本当に綺麗で。音楽と映像の合わさり方にもすごく感動しました。


――とくに印象に残っている演出はありますか?

矢野 オープニング映像がすごく好きでした。ストーリーの進行に合わせて映像が変化していくんですけど、最終回はそれまでずっと囚われていたヒロインが解放される演出になっていて「オープニングって変わるんだ!」と衝撃を受けたのと同時に、すごく感動したのを覚えています。


――『ef』は物語としては少し複雑な部分もありますが、当時はどのように見ていましたか?

矢野 完全に雰囲気だけで見ていました。なので、考察するというよりは、映像と音楽の融合や、揺さぶられる感情に身を任せながら、考えるより「感じる」という見方だったんです。なかでも音楽はとくにお気に入りで、その後もサウンドトラックをずっと聞いていたくらいです。


ギャルゲー原作への興味と「少しヤバい」ヒロイン

――『ef』はもともとPCゲーム(美少女ゲーム)が原作ですが、そのあたりも惹かれたポイントだったのでしょうか?

矢野 そうですね。私は美少女ゲーム原作のアニメがすごく好きなんです。自分でゲームをプレイすることはほぼないんですけど、綺麗なデザインやイラストを見るのは好きで、当時の美少女ゲームは私の好みにぴったりでした。あとこの時期は「可愛いものを描きたいけれど、ちょっとエッチなものも見てみたい」という気持ちも芽生えてきて、『H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-』とか『ヨスガノソラ』のような作品にのめり込んでいた時期でもありました。


――女の子ばかりを描いていた矢野さんですが、この頃は男の子との絡みを描きたいと思ったりはしなかったのですか?

矢野 いえ、男の子を描きたいと思ったことはなくて、あくまで女の子単体の、ちょっとエッチな姿が描きたかった感じです。そういう多感な時期に『ef』のような作品に出会ったことは、今の自分の「こういうものを描きたい」という気持ちに大きく関わっていると思います。


――『ef』に登場するヒロインの中では、誰が好きでしたか?

矢野 宮村みやこです。一見快活で元気なんですけど、「あれ? この子ちょっとおかしくない?」みたいな、どこかにヤバい部分があるキャラクターに惹かれるんです。そういう危うさがあると、思わずぞくっとして好きになっちゃいますね。


無意識に引き継いでいたデザインのDNA

――キャラクターデザインやビジュアル面で影響を受けたところはありますか?

矢野 『ef』と同じシルエットの制服が好きでよく描いていました。パフスリーブの感じとか、ショート丈でウエストの細さが強調されているシルエットとか。最近のアニメではあまり見ないですけど、『ef』の影響を受けていたみたいです。

――それだけ強烈に、矢野さんの美的感覚の基礎として刷り込まれていたんですね。

矢野 そうですね。今まで気づいていませんでしたけど、無意識に踏襲していましたね。あとシャフトさんといえば、あえて顔を見せない「目切り」のカットとか、極端な引きのカメラアングルとか、演出も特徴的ですよね。そういう実験的でおしゃれな見せ方もすごく好きで、自分が画を作るときの好みにつながっていると思います。


――ちなみに、アニメ業界に入ってから『ef』のスタッフの方と会う機会はあったのでしょうか?

矢野 ありました。私が初めて原画をやらせてもらったのが『ニセコイ』というシャフトさんの作品で、キャラクターデザインが『ef』と同じ杉山延寛さんだったんです。当時、シャフトさんの社内に席を置かせていただいていた時期があって、杉山さんとお会いすることができて。テンションが上がりすぎて「めっちゃ好きです! 握手してください!」って、DVDに封入されていたポストカードにサインをいただきました。


――それはすごい偶然というか、運命的ですね。

矢野 すごいですよね。業界に入りたてでいきなりご一緒できるなんて思っていませんでした。サインだけでは飽き足らず、当時は毎日のように杉山さんに置き手紙をしていました(笑)。アニメ業界という存在を意識し始め、緻密な構成や映像美に感銘を受けた『ef』は、私にとって本当に大切な作品です。


③どん底の時期に心を救ってくれた「真っ直ぐさ」

『こばと。』

アニメーター・矢野茜が選ぶアニメ3選。連載最終回は、高校卒業後、社会人として大きな挫折を味わっていた時期に出会い、心からの救いを得たという『こばと。』。どん底の精神状態の中で触れたひたむきな物語は、現在のアニメーターとしての彼女の活動にどのような影響を与えているのだろう。


世界に拒絶されたと感じた挫折の日々

――最後の作品は、高校卒業後に見たという『こばと。』です。

矢野 はい。高校を卒業したあとは、イタリアンレストランに正社員として就職してウェイトレスをしていたんです。でも、それまでにアルバイト経験がなかったこともあって、社会にまったくなじめなくて……2カ月くらいで辞めてしまったんです。


――初めての社会人で、かなり厳しい経験をしたんですね。

矢野 自分の人生の中でいちばん「世界に拒絶された感覚」というか、社会で生きていけないと思うくらい落ち込んでいた時期でした。お店のメニューが覚えられないのでオーダーを取ることもできなくて、結局、カウンターでお酒を作る係になっていました。私は興味のあること以外は何にも覚えられない人間なんだということに、この時点で初めて気づいたんです。


――それは精神的にもこたえますね。

矢野 あまりにも使えないので、シェフに「もう帰っていいよ」と言われたことがあって、それが嫌味ともわからずに「あ、わかりました!」ってそのまま帰ろうとしたら「本当に帰るの?」って呆れられたりして。自分の不甲斐なさに唖然として、その時期の休憩中は泣きながらずっと絵を描いていました。


――そんな状態でも、絵を描くことだけは続けていたんですね。

矢野 そうなんです。そんな私の姿を見かねたお父さんが「自分が本当に好きなことやりなさい」と言ってくれて。それでアニメーターの専門学校に通うための準備を始めました。その頃に見たのが『こばと。』だったんです。


――そのタイミングでの『こばと。』は、どう心に響いたのでしょうか?

矢野 『こばと。』は真っ直ぐで清らかで、一生懸命なアニメなんです。それまで『ひぐらしのなく頃に』のような、ちょっとダークで変化球な作品が好きだった私にしては珍しく、真っ直ぐなものに惹かれて。環境的に辛い時代だったからこそ、主人公の小鳩のひたむきな姿に心が打たれたんです。当時は、お風呂に入りながら主題歌を口ずさんで、それで号泣していました。


ビジュアルから受けたインスピレーション

――小鳩のひたむきさに救われたんですね。

矢野 はい。この作品のおかげでどん底にまで落ちずに済んだというか、なんとか持ちこたえることができたという感じですね。アニメ業界に入ってから、花澤香菜さん(小鳩役)とお会いする機会があったんですけど、「『こばと。』を見てすごく救われたんです!」って、感謝の気持ちをめちゃくちゃ伝えました。

――デザインやビジュアル面で惹かれた部分はありましたか?

矢野 小鳩の笑顔が本当に可愛くて、顔のバランスや特徴的な髪型もすごく好きでした。あとは藤本くんの、後ろの髪の毛が少し長くて尻尾みたいになっているところもビジュアル的にすごく刺さって、影響も受けています。


――『ef』もそうですが、『こばと。』もまた矢野さんの感性やクリエイティブの源泉になっているんですね。

矢野 そうですね。私は理屈で考えるのが苦手なので、どんな絵を描く際もわりと感性に頼って出力しているんです。これまで気づかなかったんですけど、『ef』や『こばと。』から感じたインスピレーションが今の私につながっていることがわかって、なんだかうれしい気持ちです。


アニメーターとしての現在の立ち位置と未来

――矢野さんはのちに、自身が参加するアニメに「声優」としても出演していますよね。とても特殊なポジションだと思いますが、それはどうしてでしょう?

矢野 専門学校のときに、アニメーション科と並行して声優科の授業も受けられる制度があったんです。せっかくだからお芝居もやってみたいなと思ってそちらの勉強もして、それがたまたま、監督の粋な計らいで出させていただいた感じです。現状ではほとんどが猫の役ばかりですけど(笑)。


――ちなみに絵を描くときとマイク前に立つときでは、どちらが緊張しますか?

矢野 マイク前のほうが圧倒的に緊張します。絵を描いていて緊張することはあまりないので。ただ、いちばん緊張するのは、キャラクターデザインのコンペの結果を聞く「コンマ数秒」の瞬間です。私は常に自信がなくて「受かることはないだろう」と思っているタイプなんですけど、それでも結果を聞く瞬間だけは、ものすごく鼓動が高鳴ります。


――最後に、アニメーターとしての今年の抱負や目標を教えてください。

矢野 今、キャラクターデザインと総作画監督を兼任する作品を複数抱えていて、とにかく目の前のことでいっぱいいっぱいなんです。去年の目標は「健康に生きる」だったんですが、今年の目標は「1分1秒を無駄にしない」です。時間を無駄にせず、最大限効率的にすべての作品に対して100パーセントの愛と、全力の作画をする。それが今年の私の抱負です。







日文原文链接:

矢野茜①小説で読んだ光景が「画」になる衝撃『機動戦士ガンダムSEED』

矢野茜②無意識のうちに踏襲していた「美学」『ef – a tale of memories.』

矢野茜③どん底の時期に心を救ってくれた「真っ直ぐさ」 『こばと。』

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