【生肉转载】Febri TALK系列——社築

取材・文/丸本大輔
①ありえないオタクの夢を叶えてくれた
『ハッカドール THE あにめ~しょん』
豊富なオタク知識を活かしたトークや高いゲームスキルなどで人気のVTuber社築(やしろきずく)に、大きな影響を受けたアニメについて語ってもらうインタビュー連載。第1回で取り上げるのは、VTuberグループ「にじさんじ」での活動を始めたあと、「最初の夢を叶えてくれた」ギャグアニメだ。
アニメとして大好きだったけど、より特別な作品になった
――最初の作品は、スマートフォン向けニュースアプリ「ハッカドール」から誕生した作品、『ハッカドール THE あにめ~しょん』。見習いパーソナルエンタメAIのハッカドール1号、2号、3号が、さまざまな場所に派遣されて、誰かを「捗(はかど)らせる」ために奮闘していく作品です。
社 僕は、2018年の6月にVTuberとしてデビューしたのですが、それ以前から大好きなアニメでした。そして僕がデビューする少し前(2018年3月)に、「ハッカドール」のキャラクターもVTuberとして活動を始めていたんです。ただ、最初は「ハッカドール」が好きだってことは、配信でも話していませんでした。変に好きだとアピールして、つながろうとしているみたいに見えたら嫌だし、迷惑もかけたくなかったので、陰から見ている感じでした。ただ、アニメをきっかけに使っていた「ハッカドール」のアプリの通知が配信中に鳴ってしまって(笑)。
――何かのニュースが届いて、生配信でバレてしまったと。
社 バレたならいいやと思って、「『ハッカドール』が好きなんです」って話をしたら、それが『ハッカドール』の公式さんにも伝わったみたいで。声をかけていただき、1号ちゃん(ハッカドール1号)とコラボ配信ができたんです。
――2019年の2月13日に社さんが「ハッカドール」のアプリをPRする配信を行い、ゲストとしてVTuberのハッカドール1号が登場しました。
社 アニメの好きなキャラクターとお話しできるって、普通に考えるとありえないオタクの夢なんですよね。好きなキャラクターの声優さんとお話しできるのとは、全然違うことなので。
――本来は、実現できることではなく、妄想止まりの夢ですね。
社 お互いにVTuberだからこそ実現できたことなんです。僕の前に、ねこますさん(当時は、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん)が、『狼と香辛料』のホロとVR上でお話ししたことがあって。僕の知る限り、たぶん、初めてのオタクとアニメキャラの邂逅(かいこう)だったと思うんですけど、それを自分もできたことがうれしくて、夢を叶えてもらったというか。VTuberは、こんな夢も叶えられる活動なんだって、視野がすごく広がったし、活動に対するモチベーションもかなり上がりました。
――その後の活動にも大きな影響があったわけですね。
社 VTuberって基本的に何かを供給する側ですが、受け手の気持ちも忘れちゃいけないと思うんです。それに、僕はオタクであることを隠していないし、オタクであることが誰かに元気を与えられるんじゃないかなとも思っているんですね。1号ちゃんとのコラボでは、1号ちゃんと話せたことをオタクとして喜んで、それをそのまま配信に乗せられた。受け手になりつつ供給もするみたいなことをできたという意味でも、すごく印象深くて。あのときの感動は、自分の活動の原点です。もともと、アニメーションとして大好きだったんですけど、それとは別軸で、より特別な作品になりました。
「今日も一日がんばるぞい!」を本家よりも先にアニメでやった
――『ハッカドール THE あにめ~しょん』の作品としての魅力を教えてください。
社 メインキャラクターがみんな可愛いんですけど、可愛いだけのアニメではなく、パロディネタがいっぱい入ったギャグアニメなんです。可愛い子たちが身体を張って汚れ仕事もしているみたいな(笑)。僕は、当時からIT企業で社畜として働いていて、毎日すごく疲れていたんですね。そんな中、アニメを見るのは数少ない楽しみで、『ハッカドール』のやりたい放題で自由な感じが大好きでした。3人に作画崩壊をネタにした歌を歌わせたりして(笑)。
――第2話でアイドルになったハッカドールたちが歌う「キャベツ検定」ですね。その他にも、とくに好きなエピソードやシーンを教えてください。
社 いろいろありますが、『SHIROBAKO』をモロにパロディした(第7話の)『KUROBAKO』とか好きです。
――タイトルからして隠す気がないですよね。
社 ド直球なんですよ。『SHIROBAKO』は、アニメ業界の素敵なところも大変なところも描いた作品でしたが、『KUROBAKO』は、ブラックな労働環境とか嫌なところしか描いてない(笑)。アニメの制作サイドが、本当に自由に作っていることが伝わってきて、すごく好きなんです。
パロディだけでなく、キャラクターも個性にあふれていて魅力的
――怒られたりしなかったのかな、と心配になるくらいの自由さを感じる作品です。
社 いちばん好きなのは、「今日も一日がんばるぞい!」を本家の『NEW GAME!』よりも先にぶっ込んで来たことですね(笑)。
――ネットミームにもなったマンガ『NEW GAME!』の有名な台詞を、第11話でハッカドール1号に言わせています。
社 『NEW GAME!』がアニメ化するよりも前にアニメで音にしていて、「俺が最初に言ったことになんね~かな」を地で行っているんですよ(笑)。オンラインゲームの回(第9話)では、『ソードアート・オンライン』をネタにしているし、本当にやりたい放題。1分間に5パロディぐらい平気で入れてくる。1話10分くらいの作品ですけど、短い中に入れられるものは全部入れちゃおうみたいな感じもすごく良かったです。あと、ハッカドールの中でも3号君はとくに人気が高くて。
――ハッカドール3号は、いわゆる「男の娘」なキャラクターですね。
社 すごく可愛いし、個性的なキャラなので、僕も最初は、3号君がきっかけでアニメを見始めたんです。その3号君がメインの(第6話)「思い出のナーニー」という回があるんですけど。
――放送の前年には、スタジオジブリの『思い出のマーニー』が劇場公開されています。
社 その回では、「ナーニーがなくなる」っていうド下ネタをやっているんですよ(笑)。あれもひどくて良かったなあ……。でも、そういったパロディだけではなくて、1号、2号、3号のそれぞれのキャラクターがすごく個性的でちゃんと魅力的なんです。全員、誰かを捗らせるために頑張るキャラクターだから健気だし。そんな健気な子たちがブラックなパロディをやるから、さらに面白いんだと思います。
――社さんは、約7年間の活動の中で、さまざまな作品とコラボをしたり、公式イベントに出演したりしていますが、『ハッカドール』とのコラボは、今も特別な思い出ですか?
社 比較するわけではないですが、やっぱり原点にして頂点というか。ありがたいことに、その後も自分の大好きなコンテンツとは、たくさんコラボなどをさせてもらっているんですけど、『ハッカドール』とのコラボは、本当に大きな第一歩でした。すごく大きな感動をVTuber活動の初っ端に味合わせてもらえたと思っています。だから、自分にとっては、ずっと特別な作品。XとYouTubeチャンネルのバナーにも、ずっと1号ちゃんがいるんですよ。
――YouTube配信のサムネイルによく登場しているミニキャラの社さんも、ハッカドール1号のTシャツを着ていますね。
社 あの絵もかなりお気に入りですね。最近、僕の配信を見てくれるようになったリスナーさんの中には、「この金髪の子は誰?」って思っている方もいるみたいです(笑)。
――この記事を読んでもらえたら、あの子のルーツがわかりますね。
社 そうですね。ぜひ、アニメも見てほしいです。
②こんなに自由でいいんだと思わせてくれた
『ギャラクシーエンジェル』
「にじさんじ」の人気VTuber社築(やしろきずく)に、大きな影響を受けたアニメについて語ってもらうインタビュー連載。第2回で取り上げるのは、「自分の笑いの価値観を大きく変えてくれた」という大人気ギャグアニメについて。
丁寧に作ったパロディで、元ネタがわからないときも面白い
――2作品目は『ギャラクシーエンジェル』です。この作品を選んだ理由から教えてください。
社 最初に『ギャラクシーエンジェル』がどんな作品なのかを説明すると、主人公のミルフィーユ(・桜葉)たちギャラクシーエンジェル隊の5人のメンバーは、「ロストテクロノジー」という古代文明の遺物を回収していて。その「ロストテクノロジー」は、非現実的なことを起こすアイテムだから、だいたい最後はとんでもない目に遭うんです。たとえば、宇宙が崩壊したり、メンバー全員が死んじゃったりする。でも、次の回は何事もなかったかのように平然と始まるんです(笑)。そういうむちゃくちゃな作りのギャグアニメで、自分の笑いに関する感性は、かなり影響されています。一時期、小説を書いていたこともあるんですけど、『ギャラクシーエンジェル』的なノリでギャグを連発する作品でした。
――『ギャラクシーエンジェル』は、2001年~2004年に全4期が放送された作品です。リアルタイムで見ていたのですか?
社 見たのは、高校生くらいになってからです。そのとき、なんて面白いアニメなんだって腹筋がちぎれるくらいに爆笑した話があって。(第2期第8話の)「ウェディングケーキ合体スペシャル』なんですけど、前の話まで全然出てこなかった「銀河獣」っていう敵が侵略して来るんですよ(笑)。それで、なぜかギャラクシーエンジェル隊には、五体合体のロボットがあることになっていて、全員で心を合わせて合体しなきゃいけないのに、ランファ(蘭花・フランボワーズ)という金髪の子が金持ちのセレブと結婚するっていう身勝手な理由で離脱していて。ミルフィーユたちは合体に挑戦するけど、失敗して2~3回、爆発するんです。でも、ランファが「もうちょっと独身生活を楽しむことにする」とか言って戻って来てくれて。
――ランファが帰ってくる場面は、少しカッコ良く描かれていますね。
社 5人での合体シーンもカッコ良くなっていて。それまでもコテコテのロボットアニメのオープニングみたいな曲が流れてはいたんですけど、イントロだけで終わったりしていたんです。でも、5人が揃っての初めての合体では、合体バンクみたいなカッコ良い絵も入っていて。「これは絶対に成功しただろ!」と思ったタイミングで、また爆発するんですよ(笑)。『ギャラクシーエンジェル』は1話が12分程度なのに、この1話のためだけにオープニングと合体シーン、さらに架空のお便りコーナーまで作っている。すごく丁寧に作ったパロディだから、元ネタがわからないときも面白いんです。
――社さんでもわからないネタが入っている?
社 制作陣は、僕よりもかなり年上ですし、「何のネタかわかんないけど、これだけ凝(こ)るってことは、何かのパロディなのだろう」みたいなことはよくあります。でも、元ネタがわからなくても面白いってことは、大事だと思っていて。僕、配信でよくネットミームを言うんですけど、聞いている人がわからなくても良いと思いながら言っているところもあって。別に伝わらなくても文脈の中に上手くネタをぶち込めれば、自分が面白いし満足するんです。とにかく面白ければいいんだ、みたいなところは、ギャラクシーエンジェル魂なのかなと思います(笑)。
「数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし」は、とにかく面白い神回
――長く続いた作品ですが、とくに好きな時期などはありますか?
社 第1期も好きなんですけど、正直、まだ普通寄りの作品なんです。テンション的には、第2期から壊れ始めてきて(笑)。第2期から第3期くらいのノリが、僕はいちばん好きです。
――では、第3期でとくにお気に入りのエピソードがあれば教えてください。
社 (第18話の)「数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし』は、神回ですね。この回も今まで聞いたことがない曲をみんなで歌いながら、ピクニックへ行くんです。そこで、ミルフィーユがおにぎりみたいな何かを追いかけて崖から落ちそうになり、他のみんなが助けようとした結果、5人が数珠つなぎになって崖にぶら下がってしまう。でも、自分だけは助かろうとして裏切るやつがいたりして、なんやかんやあり順番が入れ替わっていくんです。見ていても「なんで?」「ありえないだろ!」って展開になるんですけど、とにかく面白い。
――重要なのは、理屈じゃないと。
社 ありえなくても、制作側が「こうやったほうが面白いだろ!」って作っている感じなんです。たまに、お話を作るとき、まず整合性を求める人もいるんですけど。僕は、それって作品をつまらなくするスパイスだと思っていて。面白ければ、どうでもいいんですよね。整合性なんてあとからついてくればいいし、まずは勢いが大事だと思っています。SFアニメやマンガでは、お話的に整合性を求めてしまう作品もありますけど、『ギャラクシーエンジェル』は、まったくそういうアニメではないので、笑えればいい。この回には、ミント(・ブラマンシュ)って子が飼っているメーモンというペットがいきなり出てくるんですけど。
――前の回まで話題にすら出てきたことがない「名門のメーモン」ですね。
社 あとの回にも出てこないです(笑)。ミントが、そのメーモンに乗ってビームを撃ってくるんですよ。しかも、泣き声も「メーモン」ですから(笑)。そういったその話限りの謎の設定が毎回のように出てくるのが本当に好きでした。創作って、こんなに自由でいいんだと思わせてくれた作品です。
――配信活動にも影響を受けているところはありますか?
社 創作とはまた別ですけど、僕は、配信でもノリや勢いが大事だと思っているし、影響をかなり受けているはず。今の「にじさんじ」は、モラルさえ守っていれば、けっこう自由に活動ができるし、自由な発想も活動に活かせているのかなと思います。
――「にじさんじ」の同僚の皆さんの中で、「『ギャラクシーエンジェル』的な笑いのセンスを持っているな」と感じるライバーさんはいますか?
社 文野環(ふみのたまき)さんです。
――可愛いけれど、破天荒な行動で有名なライバーさんですね。
社 文野さんは先輩なんですけど、そのままギャラクシーエンジェル隊の中にいてもいいと思うくらい面白い方です(笑)。以前、「ナンを作る配信するから、朝5時半に待機しててね」と言われて、起きて待っていたんです。でも、全然連絡が来なくて、これは寝ているなと思っていたら、(通話アプリの)Discordにアルファベットで急に「GO」ってメッセージが来たんですよ。これは、「ごめん」の「ご」だなとか思っていたら、通話がかかってきて。「たまちゃん、なんすか」みたいなことを言ったら、すでに配信が始まっていて、僕の音声も乗っていたんです。「GO」は、「行くよ」の「GO」だったんですよ(笑)。
――それはわからない(笑)。
社 僕は、まさか配信に声が乗っていると思ってないから、自己紹介もしなかったんですけど、文野さんは何の説明もなく、そのままエンジンフルスロットル。そういう方なので、ギャラクシーエンジェル魂を感じますよね。しかも、まったく悪意がないし、面白いから許せちゃう。完全にミルフィーユですよ(笑)。
③本当に道徳の教科書みたいな作品
『キノの旅-the Beautiful World-』
オタク知識を活かした雑談やゲーム実況で人気の「にじさんじ」所属のVTuber社築(やしろきずく)に、大きな影響を受けたアニメについて語ってもらうインタビュー連載。第3回で取り上げるのは、名作ライトノベルを中村隆太郎監督がアニメ化したテレビシリーズだ。
ビターエンドのお話ばかりだけど、悪い気持ちじゃない
――3本目の作品は、『キノの旅-the Beautiful World-』です。時雨沢恵一(しぐさわけいいち)さんが書いたライトノベル『キノの旅』は、2003年と2017年の二度、テレビアニメ化されていますが、今回挙げていただいたのは、2003年に放送された中村隆太郎監督のほうですね。
社 もともと『キノの旅』は、原作のライトノベルを読んでいたんです。WOWOWで放送されたこのアニメを見たときは、たぶん中学生くらいだったので、残酷だし、陰鬱というか暗いアニメだなって思いました。とくに衝撃を受けたのが、(第2話の)「人を喰った話」。最初に挙げた2本のギャグアニメとは違って、今回はどうしてもネタバレも含んだ話になるから、気になる人は、ぜひ先にアニメを見てから読んでください。吹雪の中、旅をしていたキノが、食糧がなくて飢え死に寸前の3人の男に出会って助けてやるんです。でも、人が良さそうに見えた3人が、じつは人身売買をしていて。キノも襲われるけど、逆に3人を倒すんですよ。その後、吹雪の中、食糧がなくなった3人がキノに助けられるまでどうやって生き延びていたのかわかるんですけど、じつは売り物の人を食っていた。「人を食った」というタイトルは、ふたつの意味にかけてあったんですよ。
――バカにするという比喩表現と、本当に食べたというふたつの意味があったわけですね。
社 でも、当時から残酷なだけの作品ではないとも感じていて、中村監督の作品にしかない何かに初めて触れた作品でした。中村監督特有の演出だと思うんですけど、突然テロップが出てきて「ポーン」と独特の効果音が鳴ったりするところとか。上手く言葉にできないのですが、あのテンポ感も含めて、不思議とすごく良いなって思ったんです。あと、旧作の『キノの旅』については、僕はもともと、丸っこい作画が好きだから、あの顔も大好きでした。(黒星紅白さんが描いた)原作のイラストとは、また違う魅力があるんですよね。
――「人を喰った話」に限らず、『キノの旅』は、深い人間心理を描いたエピソードが多いので、中学生くらいでこの物語に触れたのであれば、影響は大きかったのでは?
社 大きかったですね。たとえば、第1話の「人の痛みが分かる国」は、自分の考えていることが相手に伝わることや、相手の考えていることがすぐにわかることは、幸せだとは限らないって話なんです。でも、当時の自分は、精神的にかなり幼かったというか、大人びてはいなかったので、自分の気持ちが相手に伝わらなかったとき、「なんでだよ!」って思いっきり憤慨(ふんがい)したこともありました。ただ、キノは常に傍観者みたいなところがあって。どの国で、どんな人と出会っても深入りしすぎないんです。それで、年を取ってきた今、『キノの旅』からの影響を考えると、いつの間にか僕もキノみたいに他人の考えとかには、あまり深入りしないようになっているんですよね。いろいろなものの在り方に対して寛容になりました。これは、『キノの旅』が染み込んでいたからかなと思ったりします。まあ、よくも悪くもあきらめに近い感情かもしれないですけど。今は、勝手に期待して勝手に失望するほうが相手にとって残酷だと思っているので、何事にもあまり期待しないようにしていて。そのうえで何か良いことがあったら、ラッキーくらいに考えています。
――健康的な考え方のようにも思えます。
社 あとは、何ともいえないビターエンドのお話ばかりだから、物語にハッピーエンドを求めなくなりました(笑)。でも、不思議と見たあとは、悪い気持ちじゃないんですよ。
当時、涙が止まらなかった最終回の「優しい国」
――「人を喰った話」の他にも、とくに印象的なエピソードがあれば、教えてください。
社 (第13話の)「優しい国」ってエピソードがすごく良くて、当時、号泣しました。
――最終回ですね。
社 さっきもお話ししたみたいに、キノって基本的に他の人に深入りしすぎないし、旅が途中で止まっちゃう恐れもあるから、3日経ったら絶対にその国を離れることにしているんです。でも、あまり評判の良くなかったある国に行ってみたら、そこの住人は、キノがそれまでに訪れたどの国よりも優しくて。やたらと歓迎してくれるし、あまりにも居心地が良かったから、キノは滞在期間を3日から延ばそうかなって住人に言うんです。そうしたら、急にみんなの態度が変わって。「それはダメだ。絶対に3日で出て行ってください」って言われるんですよ。理由もわからないキノは驚くんですけど、言われた通りに3日でその国を離れるのですが、その夜、火山が噴火して、優しい国はなくなってしまうんです。
――火砕流に全住人ごと飲み込まれてしまいます。
社 その光景を見て、それまで感情をあまり表に出してこなかったキノが最大級に絶望した顔を見せるんです。その後、キノは、宿の女将がお弁当の中に忍ばせていた手紙で事情を知るんですけど。以前、その国は、旅人に対してひどい扱いをしていた国だったんです。でも、もうすぐ火砕流に飲まれて国がなくなってしまうことがわかって。このままでは冷たい人の国として歴史に残ってしまうから、どうにかして噴火が起こる前に、この国の人は優しかったという歴史を残したかった。そして、噴火の起こる3日前に訪れた最後の旅人がキノだったんです。優しくしてくれていた理由を知ったときは、涙が止まらなかったですね。だって、旅人が良い人間とは限らないんだし、歓迎されるのは当たり前のことではない。善意にも理由があって良いんですよ。何かの見返りを求めてボランティアとかをやると、「偽善だ」と言われることってありますよね。でも、「別に偽善でもいいでしょ? 見返りを求めてやる善意の行動だって、素敵なことじゃん」と思わせてくれるお話でした。
――大切なのは、誰かの助けになることのほうですしね。すごく深い話だと思います。
社 本当に道徳の教科書みたいな作品ですよね。しかも、それが押しつけがましくない。作品の中でキャラクターが「これはこうすべきだ」みたいなことを言うと、説教臭く感じて冷めちゃったりするんですけど。『キノの旅』は、その国の住人たちの生き方で学ばせてくれるというか、見ている自分に考えさせてくれる。それにこの作品は、効果音とかもすごく静かで、無音の演出もよく使われるので、静かに見られて考えさせられる。この空気感がすごく好きなんですよ。中村監督の作品だと『lain』(serial experiments lain)も好きなんですけど、同じような空気感で、派手な音もなくて作品に浸(ひた)れる心地良い静けさがある。だからこそ、中村監督の作品は、深く心にこびりついているのかなと思っています。
――今回、とくに大きな影響を受けた3作品を選んでいただきましたが、社さんにとってアニメは、どのような存在ですか?
社 子供の頃からアニメには本当に救われてきたところがあって、他にも語りたいアニメは、たくさんあります。もし、アニメがなかったら、すごくつまらない人生だったと思います。それに、昔から常に何かを考えているタイプで、ずっと頭に言葉が浮かんでくるから疲れちゃうんですよ。そういうとき、ボーッと見られるギャグアニメとかにはすごく癒されてきました。もし、アニメがなかったら、自分の身体の9割くらいは、燃え尽きて消えていたんじゃないですかね(笑)。
日文原文链接:
社築①ありえないオタクの夢を叶えてくれた 『ハッカドール THE あにめ~しょん』
社築②こんなに自由でいいんだと思わせてくれた 『ギャラクシーエンジェル』
社築③本当に道徳の教科書みたいな作品 『キノの旅-the Beautiful World-』
日文网页原图:



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