【生肉转载】Febri TALK系列——青木英(苍井启)

取材・文/前田 久
来源:日本深度动画内容网站Febri
采访发布时间:2022年12月12日~16日
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①「青春の挫折」を知った
『メガゾーン23』
『アルドノア・ゼロ』『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』など、数々の話題作を手がけてきたアニメーション監督・あおきえい。そのルーツに迫る全3回のインタビュー連載の初回は、OVA黎明期の伝説的なヒット作を語る。衝撃のラストから受けた影響とは?
たまたま見直して気づいた「知らないシーン」
――あおき監督の1本目のセレクトは『メガゾーン23』。1985年発表のOVAです。
あおき OVAの黎明期、すごく盛り上がっていた時期に発表された作品ですよね。
――監督は1973年生まれで、発売直後だと中学生になるかならないかですよね。その年齢で見るには内容も刺激的ですし、そもそもビデオを手に取るのも大変だったのでは?
あおき 最初は兄貴がレンタルしてきたのを、一緒に見たんです。ただ、何度か借りてきたはずなんですけど、いつも全部は見せてくれないんですよ。毎回、「今日はここまで」みたいに区切って、別の日に続きから見せてくれる。おそらくベッドシーンを見せないように配慮していたんでしょうね(笑)。
――この作品の話をするとなると、有名なそのシーンの話題は絶対出るだろうと思っていたのですが、意外なかたちで出てきました(笑)。
あおき だから、この作品にベッドシーンがあるのを知ったのは、ちょっとあとだったんです。何かのタイミングでたまたま見直してみたら「知らないシーンがある!」と(笑)。びっくりでしたね。あそこは難しい設定の説明シーンでもあったので、飛ばすと話がつながらない。子供心にも違和感はあったものの、「そういうものなんだろう」と自分を納得させていたんですけど、ちゃんと説明があったとは……みたいな。
――ビデオを見る前から作品のことは知っていたんですか?
あおき もともと「ロボットもの」が好きだったんですよ。日曜は外にいても、14時からの『超時空要塞マクロス』の放送に間に合うように一生懸命家に帰るような子供でした。『メガゾーン23』にキャラクターデザインで参加されている美樹本晴彦さんや平野俊弘(現:俊貴)さんは『マクロス』への参加で名前がすでに売れていて、僕も当然おふたりのことは知っていましたし、監督が同じ石黒昇さんということもわかっていました。それ以外のスタッフさんはじつはかなり違うのですが、そんな情報もあって作品全体から『マクロス』っぽい雰囲気を感じて、同じような「SFロボットもの」だろうと思って楽しみにしていたんです。
――実際に見た感想はどうだったんでしょう?
あおき 荒牧伸志さんがデザインされた主役メカのガーランドは、期待通りにすごくカッコよかったし、作品の内容も当時から面白く感じていましたね。今でこそ珍しいものではないですが、「じつは全部作られた世界」という設定……要は『マトリックス』と同じような話を、もう少しフィジカルにやっている。
主人公が負けてしまうラストシーンは、かなりの衝撃だった
――『マトリックス』は電脳空間ですが、『メガゾーン23』は宇宙船の中にまるっと架空の世界が物理的に作り上げられていますよね。
あおき その設定がすごく面白かったし、それを使って語られるストーリーにも大満足でした。とくに主人公が負けてしまうラストシーンは、かなりの衝撃でした。なんでもない人がロボットという力を手に入れて、裏にある陰謀に気づいて戦うストーリーだから、当然主人公はその力を使って陰謀に勝つと当時は思っていたんです。ところが、敵役のB.D.と対決してもまったく歯が立たず、それどころか、ろくに相手にもされない。そして主人公はすごすごと、もといた虚構の渋谷に帰ってしまう。こんなラストを迎える物語が存在することを、そのときに初めて知ったんですよ。
――人生初のバッドエンド体験だった?
あおき そうなりますね。でも、バッドエンド……負ける物語ですが陰鬱な感じはしなくて、それが不思議でした。ボロボロになった主人公が杖をついて、誰もいない朝の渋谷を歩いている。挿入歌がかかったところで杖を投げ捨て、自分の足で歩き出す……そのラストシーンの一連の流れを超カッコよく感じたんですよ。物語の要素としてポジティブな部分はほとんどないのに、印象は爽やかで、新しい物語を見た気がしました。
――なるほど。
あおき 主人公が、ストーリーの鍵を握るバーチャルアイドルの時祭(ときまつり)イヴに「なぜ宇宙船の中の作られた世界の時代設定を二十世紀の終わりにしたのか?」と問いかけると、彼女が「その時代が人々にとっていちばん平和な時代だったから」と回答するシーンにもグッときたんですよね。セリフの内容もいいし、イヴが一瞬きょとんとした顔になったのちに微笑んでセリフを言うのもめちゃめちゃよくて。この作品って「ロボットもの」だけど、「青春もの」でもあるんですよね。二十世紀の終わり……作品発表当時の、今、自分たちが生きている時代を肯定して、最終的に挫折するけれども、そこからもう一度、主人公が立ち上がろうとするところで終わる。当時はここまで分析できませんでしたが、今考えると当時、まさに思春期を迎えつつあった自分が、「青春の挫折」というテーマに惹かれたんだろうなと思います。
――2022年の今から振り返ると、80年代が「いちばん幸せだった時代」というのが、また味わい深い気もします。
あおき 超バブルの頃ですもんね。余談ですけど僕がAICに所属していた頃、じつは『メガゾーン23』のリメイク企画が、何度も出ては消えていったんです。監督として手を挙げたこともあったんですが、かなわなかったのは残念でした。あのラストシーンを再現したかった……そんな思いが、自分の監督作にちょっとずつ反映されているように思います。
――たしかに、あおき監督の作品で手放しのハッピーエンドを迎えるものはほぼないような……。
あおき ですよね(笑)。勝つことにこだわらなくてもいい、主人公が成すべきことをしたら、勝とうが負けようが、それは結果論に過ぎない……そう思っているところが自分にはあって、それは本当にこの作品の影響ですね。
②「わからなさ」が刺さった
『エリア88』
アニメーション監督・あおきえいのルーツに迫るインタビュー連載の第2回は、巨匠・新谷かおるの代表作を、大胆な脚色でアニメ化したOVAについて。『喰霊-零-』『Fate/Zero』など、原作ものでもたしかな手腕を発揮してきたあおきは、今作から何を受けとったのか。
抜け出せたはずの戦場にあえて戻っていく主人公
――2本目は『エリア88』です。OVAとTVシリーズがありますが、あおき監督が選んだのはスタジオぴえろ制作のOVAのほうですね。
あおき これも『メガゾーン23』と同じで、少しビターなエンドが好きなところにがっつりハマった作品なんです。鳥海永行(とりうみひさゆき)さんが監督で、ACT1、2は比較的原作に沿う形で作られている。それはそれで面白かったのですが、ACT3(最終巻)でのストーリーの畳み方がすごいんですよ。原作の途中のエピソードをうまく利用して、オリジナルのエンディングを作っている。原作の最終話も好きですけど、このOVA版のエンディングがめちゃ好きなんですよね。主人公が晴れてエリア88から出ることができて、娑婆(しゃば)の空気を謳歌(おうか)しているんだけど、全然満足できなくて、結局はエリア88に戻っていく……この展開の「業の深さ」みたいな部分がたまらない。
――主人公の真(シン)はもともと孤児で、明るい未来をつかみかけた矢先に親友だと思っていた人間に嵌められて、エリア88の傭兵部隊に送り込まれてしまった。そんな望まぬ境遇から脱出できたのに、わざわざ酷い環境に戻るわけですよね。
あおき しかも、その頃、エリア88は敵からの総攻撃を受けている。傭兵たちは「逃げてもいい」と言われて部隊は解散するんですけど、結局エリア88を守るために戻ってくるんですよね。そんな自分の死に場所を「ここだ」と決めた人たちの姿がアツくて、カッコいい。メインキャラの扱いだった人たちがバンバン死んでいくんですが、どこか清々しさすら感じるいいシーンなんです。一方、主人公の真は戻るとき、エリア88がどんな状況かを知らないんですよね。最後まで知らない。エリア88に向かうルートに入ったところで、すぱっと物語が終わる。
――今の視聴者の感覚からすると、「ここで?」みたいなタイミングで終わりますよね。
あおき おまけに戻ったときにあの場所はどうなってしまっているのか、劇中には何のヒントもないんですよ。おそらく、タイミング的にはエリア88はすでになくなっているはずですけど、そこは描かない。そのときに真が、F20タイガーシャークの中で「なぜエリア88に戻るのか?」を自問自答するセリフもいいんですよね。「人を殺すのが忘れられないんだろう?」みたいな声を否定して「俺にはわかったんだよ。俺の『こだわり』の元凶がエリア88だってことが。だから俺は戻るのさ。この『こだわり』を消すために」と返す。このセリフ、ずっとおぼえていますね。
――それくらい刺さっているんですか。
あおき でも、意味はいまだによくわからないんですよ(笑)。「こだわり」を消すために戻るって、どういうことなんだろう? こだわりの元凶がエリア88なのだとしたら、真は戻って何をするんだろうか。まさかそんなことはないと思うけれども、たとえば、エリア88を攻撃するために戻るのか? ……そんな風に、絶妙にわかるような、ちょっとわからないような感じのセリフを最後に持ってくる。しかも、真はラストカットでは、ニヤッと笑うんですよ。この笑顔もどういう意味なんだろう?と。少し皮肉っぽい笑いで、雰囲気としては理解できるのですが、セリフの細かい意味や笑顔の理由は劇中でいっさい説明されない。でも、だからこそ見終わったあとに心に刺さるんです。「あれは何だったんだろう?」と。
わからないからこそ、ずっと自分の心の中に残っている
――自分の中でも、明確な答えは出ていない?
あおき いまだに答えはわからないですね。ただ、わからないことに対しての不満はまったくなくて、わからないからこそ、自分の心の中にこの作品がずっと残っているんだろうなと。それで、自作でもそういうことをやりたがる。全部を説明しないで、大枠だけ作って、細かい部分はお客さんの想像力に委ねたい。
――同じようなことをやっても、想像の余地があると感じてもらえる作品と、単に描写不足ととられる作品がありますよね。何が違うんでしょう?
あおき この作品はバランスが絶妙なんですよね。『ブレードランナー』もそうじゃないですか。あれは試写でラストが不評だったので、強引に劇場公開版のエンディングを付け足したら、それが皮肉にも視聴者の心に残った。もしかすると『エリア88』も、そこまで深く考えていない可能性はあるわけです。でも、これがもっと訳のわからないものだったら「この作り手は何も考えていないな」と引かれてしまうと思うのですが、「これだけちゃんと他の部分ができているんだから、これも何も考えていないわけないよな」と思えるものになっている。このバランスだから、ずっと残るんです。必然の産物なのか、偶然の産物なのか、見ている側からするとちょっとわからない。そのあたりの押し引きが、心にめちゃめちゃ刺さるものを生むんじゃないでしょうか。少なくとも自分にはそうでしたね。何度見てもあのラストシーンは素晴らしすぎて、いまだに繰り返し見てしまいます。作画もいいし。
――作画のよさも魅力的ですよね。とくにメカ関係の作画は、今の目で見ると信じられない。
あおき 戦闘機や戦車が手描きですからね。たしかに「よくこんなのを描いていたな!」と思います。ミッションで谷を制圧しに行く場面なんて、全部背景動画ですもんね。今ではほとんどロストテクノロジーですよ。これをできる人間がもう残っていない。アニメーターさんたちのあいだで、技術が継承されていないんですよね。戦車のキャタピラを手で描いているとか強烈ですよ。今やろうとしたら「このカットは当然、CGでやりますよね?」って制作に言われるでしょうね(笑)。
③想像力を刺激された
『ガンヘッド』
『Re:CREATORS』など数々の人気アニメを手がけてきた監督・あおきえいのルーツに迫るインタビュー連載。最終回で取り上げるのは、まさかの実写作品。近年、急速に再評価が進むこの作品に、公開前からの「古参勢」であるあおきは、何を見てきたのだろうか。
「何か新しくて面白いものを見た」という興奮があった
――最後のセレクトは『ガンヘッド』。Febri TALKでは珍しい実写作品です。
あおき 自分が影響を受けた作品を選ぶうえで、どうしても外せなかったんです。劇場公開当時、僕は高校2年生。それまではいわゆる「アニオタ」として育ってきた人間だったので、実写は有名なものくらいしか見ていませんでした。
――あおき監督といえば映画好きのイメージがあったので意外です。特撮も通らずですか?
あおき 有名どころをつまみ食い程度ですね。メタルヒーローシリーズは好きでしたけど、特撮というジャンルそのものにはそんなにハマってはいませんでした。『ガンヘッド』は『月刊ニュータイプ』でよく取り上げられていたし、麻宮騎亜先生がコミックを連載していたり、会川昇(現:會川昇)さんの小説版が角川スニーカー文庫から出ていたりもして、アニメ寄りの宣伝をたくさんしていたんですよね。実写作品だけどアニメファンにも存在が周知されていて、だから自分も、メカデザインが河森正治さんなこともあって、劇場公開よりずっと前から期待していました。あまりよくないことですけど、試写に何度も応募して、劇場公開前にすでに3回くらい見ていたんですよ(笑)。
――スゴい。この作品の、何にそこまで惹きつけられたのでしょう?
あおき 見終えた瞬間、「何か新しくて面白いものを見た」という興奮があったんですよね。ストーリーは言葉足らずというか、そんなに難しい話ではないはずなのに、よくわからない。そもそも画面も暗くて、何をやっているのかもよくわからない。当時の試写室はそこまで設備がよくなかったこともあって、真っ暗な中で音だけ響いている印象だったのに、それでも満足感がすごくあったんです。作品のいろいろな要素が、いいところをかすっているんだけれども届かない部分がたくさんある……みたいな。「きっとこのシーンは、こういうことがやりたかったのだろうけれども、いろいろな制約でこうなっているんですよね?」と、こちらが想像力を働かせてしまうような作品だったのが大きかったんだと思います。
――具体的にはどういうところですか?
あおき たとえば、苦労していろいろな場所でロケをしているのはわかる。わかるんだけど、そうやって撮られた映像が「カイロン5」という巨大な建造物の中の風景だとは感じられないんですよね。特撮にしても頑張ってはいるけれども、ミニチュア撮影の雰囲気が出てしまっていて、出てくるロボットが8メートルあるようにはどうしても見えない。特撮監督は東宝特撮の巨匠・川北紘一さんで、特撮ファン的にはいろいろと意見がある作品なのはわかっています。わかっているんですけど、失礼な言い方になってしまいますが、決していい出来ではないと僕は思います。少なくとも、狙っているものには見えないんですよね。でも、やりたいことはわかる……と。
うれしい反面、古参のファンとして気持ちの行き場がない(笑)
――まさに想像力を掻き立てられる。
あおき やはり僕としては、原田眞人(まさと)監督のアメリカナイズされた乾いた演出が自分の好みと合致した感覚がありました。セリフがおしゃれなんですよね。「銃で遊ぶな。ツキが落ちるぞ」とか「死ぬときはスタンディングモードで」とか、超カッコいい。戦闘中であっても、どこか軽くて抜けている。そういった感じを、それまでの自分は体験してこなかったので気持ちよかったんだろうな、と今考えると思います。
――なるほど。
あおき あと、ビデオで発売されてからも擦り切れるくらい見たんですが、そこで編集の素晴らしさもわかりました。編集に関しては、純粋に今見ても素晴らしいと思います。担当されたのは黒岩義民さんで、岡本喜八監督の作品も手がけられている、当時でもベテランの編集の方です。リズムの作り方、尺間やカットの寄り引きの選出の仕方だとかが、とても心地よい。
――自分の作品で、ここから具体的な影響を受けているものはありますか?
あおき ufotable制作の『コヨーテ ラグタイムショー』で、アンジェリカ・バーンズという捜査官がカロリーメイトを食べるシーンがあるんですが、それは『ガンヘッド』のブルックリンがにんじんスティックを食べるシーンのパロディというか、オマージュでした。シガレットケースを開けると、にんじんじゃなくてカロリーメイトみたいな固形食が入っている。当時は誰にも気づかれなかったですね(笑)。まだ『ガンヘッド』がDVDにもなっていなくて、気軽に見られる環境じゃなかったこともあると思いますが……ホント、急に身近な作品になりましたよね。Blu-rayも出たし、それを記念して池袋で特別上映があれば、大勢の人が駆けつける。「マニアックな人気のある作品」としてすっかり認知されるようになった。公開当時はいろいろなところでボロカスに書かれていたし、周囲にもこの作品ならではの新しさや面白さをわかってくれる人が誰もいなくて悔しかったのに。ファンはどこから出てきたんだろうか。「バブルの残り香を感じる、超大作なダメ作品」の代表格だったはずが、カルト作品として評価されるようになってうれしい反面、ずっとファンとして迫害されていたような自分の気持ちの行き場がないですよ(笑)。
――痛し痒しですね。
あおき ともあれ、『ガンヘッド』をもし見ていなかったら、実写への目覚めはもうちょっと遅かったはずなんです。自分の中の新しい扉を開いてくれた。この作品で実写映画の面白さにハマって、アニメからはしばらく遠ざかるんです。だから繰り返しになりますが「影響を受けた作品」というテーマで話すと、絶対に外せない作品なんですよ。以前、「『ガンヘッド』は権利関係がいろいろと複雑で、そこがはっきりしていないからDVDが出せない」と聞いたことがあるんです。でも、Blu-rayまで出せた今なら、はっきりしているはずですよね。権利の問題がクリアできているなら、リメイクできないかなあ。誰に言ったらいいんだろう? 僕、リメイクしていいなら喜んでやりますよ! ……と、この場でアピールしておきます(笑)。
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