【生肉转载】Febri TALK系列——黑崎静佳

取材・文/犬地リコ


来源:日本深度动画内容网站Febri

采访发布时间:2022年10月31日~11月4日

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①アニメ業界を目指すきっかけになった

『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー 追憶編』

『Fate』関連アニメ作品や『活撃 刀剣乱舞』のアニメプロデューサー、中国アニメの日本語版ローカライズなどにも携わる黒﨑静佳が選ぶ「人生に影響を与えた」アニメ3選。インタビュー連載の第1回は、アニメ業界人としての原点を作った『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー 追憶編』について。


アニメならではの表現を使って、実直に「時代劇」を描いている

――『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー 追憶編(以下、追憶編)』は1999年のOVA作品ですが、視聴のきっかけは?

黒﨑 私は大学時代に映画やアートを専攻していたのですが、『追憶編』は授業のときに「海外ですごく評価されている作品」として紹介されたことから興味を持ちました。当時はアニメには興味が薄く、どちらかというと溝口健二監督作品のような古い日本映画や時代劇が好きだったので、『追憶編』も時代劇を見るような気持ちで見始めました。そうしたら自分の想像以上に大人っぽく情緒漂う時代劇をやっていたのに驚かされ、一気にハマったんです。当時、京都に住んでいたのもあって、作中に登場する京都らしい風俗や四季の演出の美しさ、さらにそれを物語の中で意味のある描写として組み込む巧みさにも胸を打たれまして。それから古橋一浩監督の作品を片っ端から視聴するようになりました。


――とくに感動したシーンはどこでしたか?

黒﨑 どのシーンも印象的ですが、たとえば、剣心が巴の夫である清里(明良)を殺すシーンのレイアウト。カメラアングルが真下から横に移動したり、画面を90度動かすなど、アニメだからこそできる表現だと感じました。一方で殺陣はすごくリアルで、アニメならではの表現を使いつつ、実直に「時代劇」を描いているんです。戦いのあと、血を流して力尽きた清里の暗い背中に鮮やかな椿が乗っている演出も情緒があって、この一連のシーンで一気に作品に引き込まれました。


――花や植物は節々に印象的に登場していますね。

黒﨑 自然物のシーンをはさんで間を作り、四季を描いて時間経過を表す演出は何度も出てくるのですが、『追憶編』はOVAシリーズ全4作品それぞれが春夏秋冬を描いていて、その四季の描写がキャラクターの心情とも重なっているという全体の構成も秀逸だと思います。剣心と巴が町に出たときののんびりした人々の会話シーンとシリアスなトーンの落差がすごく活きているところも好きです。「少年マンガをアニメ時代劇として再構築する」という点では最適解ですし、いまだにこれを超える作品はないと思っています。


「観客にどのような感情を抱いてほしいか」を意識するきっかけに

――『追憶編』の視聴体験で、今の自分の仕事に活きているなと感じるところはありますか?

黒﨑 古橋監督はキャラクターを徹底的に分析して、「最終的にこのキャラクターがこの道を歩むには、ここで絶対こういった感情になっていないといけない」とか、感情の動きをすごく緻密に計算される方なんだと思います。『追憶編』はその点も素晴らしくて、たとえば、人によっては巴が嫌な女に見えるかもしれないし、剣心が優柔不断に見えたりするかもしれないけれど、その行動にはちゃんと理由があって、そういう環境・シチュエーションに置かれたらそうなるよね、そういう気持ちと行動になるよね、と納得できるような描写がなされています。剣心の頬の十字傷が、原作では偶発的についたのに対して『追憶編』では巴が故意につけたことになっているのですが、そこも「最後に自分が剣心の頬に傷をつけることで、傷の意味を上書きしたのかな」とか「あるいはやはり最後の復讐だったのかな」とか、想像の余地を残しつつ、どうしてそうしたのかを視聴者が納得できるような演出になっている。お客さんに持ってほしい感情と演出が合致しているからこそだなと。


――演出のために重要な要素を知ったと。

黒﨑 私もシナリオ会議では「キャラクターの行動によってお客さんにどういった感情を抱いてほしいのか」を意識するようにしています。演出家や監督のやりたいことというのはもちろんあると思うのですが、たとえば、監督からキャラクターの動きについて希望が出た場合は、必ず「それって視聴者にこう思ってほしいんですか?」というのを確認します。視聴者にキャラクターを哀れんでほしいのか、怒ってほしいのか、それによってアプローチも変わってくるので。すごく基本的なことだと思うのですが、こういったことの重要性も『追憶編』が教えてくれました。


――ちなみに、黒﨑さんはなぜアニメプロデューサーの道を選んだのでしょうか?

黒﨑 私は『追憶編』をきっかけにアニメの魅力に触れました。いやらしい話ではありますが、当時の深夜アニメ界隈の盛り上がりを見て「これはビジネスチャンスだな」と感じました。でも、自分には映画を撮る才能がなかったのと、学生時代に教授から「クリエイター自身に、作った作品の良さを言語化して伝えてあげるのが評論家やプロデューサーの仕事だ」と言われたのが心の奥に残っていて、それならクリエイターをサポートする形で映像業界に関わろうと思い、ソニー・ミュージックに就職したんです。入社当初はDVDやCDの営業をやっていたので、最初からプロデューサーだったわけではないんですけど。


――作家さんに実際に自分の感想を伝えることはありますか?

黒﨑 ありますね。「この作品のここが好きです!」みたいなのをお伝えしても、人によっては「なるほど」くらいの反応だったりするのですが、何年かしてから「あのときの言葉はうれしかった」と言ってくださることもあるので、あまり遠慮しないようにしています(笑)。


――そういった言葉が返ってくるというのもプロデューサーのやりがいのひとつですね。

黒﨑 そうですね。でも、いちばんやりがいを感じるのは、やっぱり第1話と最終話を世に送り出す瞬間です。入学と卒業みたいな。ビジネスなので売れるかどうかも大事ですが、個人的には原作を読んだときの作品の面白さや、作家や監督の才能を「世に知ってもらいたい」という感覚のほうが大きいです。推しのプレゼンをさせてもらっているような気持ちですね。仕事やこういった場を通じて、今後ももっと推したちをプレゼンしていきたいです(笑)。


②自分を純粋なアニメファンに戻してくれた

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

『Fate』関連アニメ作品や『活撃 刀剣乱舞』のアニメプロデューサー、中国アニメの日本語版ローカライズなどにも携わる黒﨑静佳が選ぶ「人生に影響を与えた」アニメ3選。インタビュー連載の第2回は、劇場で涙を流すほど没入したという映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を語る。


作品の素晴らしさに圧倒されて業界人目線をはさむ暇なんてなかった

――今回選んだ作品は2021年公開とかなり最近のものになりますが、どういった理由で選んだのでしょうか?

黒﨑 業界に入ってそこそこ長くなると、仕事柄どうしても作品をビジネス目線で見てしまうようになって。「どんなもんか見てやろう」と構えてしまうというか(笑)。余計なことを考えて、作品に没入しづらくなってしまうんです。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(以下、ハサウェイ)』はそんな私に、いちアニメファンとしての気持ちを取り戻させてくれた作品です。


――『ハサウェイ』も最初は「見てやろう」という気持ちで?

黒﨑 原作小説はファンの間でも評価が分かれていて、リアルというかけっこうシビアな展開なのですが、あれをどうやって映像にするのかが気になりましたし、一流のクリエイターである村瀬修功監督の作品ですからこれは見なければ、となりまして。シリーズが長く続いていくと、商売としてはどうしても新規ファンを獲得することに目がいきがちですが、『ハサウェイ』は変に欲をかかず、腕のいいスタッフを投入してシリーズが大好きなお客さんをターゲットにして煮詰めた結果、あのような一級品のフィルムができあがるというのがすごくカッコイイと感じました。


――スタッフ陣も豪華ですし、大人がお金もパワーも全力を出して作ったぞ!という感じがありますよね。

黒﨑 見る前は業界人的な目線で挑んだはずが、見終えたその足ですぐに売店でブルーレイを買って、さらに劇場でチケットを買い直してもう一度見てしまうぐらい作品の完成度に圧倒されました。序盤で澤野弘之さんの雄大でセンチメンタルな劇伴とともにハサウェイたちが乗ったスペースシャトル「ハウンゼン」が地球に降下するシーンがあるのですが、そこでドバっと涙が出てきてしまって。「人間がいつか本当に宇宙に出ていくことになっても、ここで描かれている状況のように地球を懐かしく思うんだろうな」って気持ちになったんです。つかみとして完璧で、こんなに感情移入させられると思いませんでした。演出も物語の構成も、まるでクリストファー・ノーラン監督の映画のようにストイックですし、一本のアニメ映画として見たときに減点するところがないぐらいにすごくよくできていて、業界人的な目線になる暇もなく、終始わくわくさせられました。


いちファンとして楽しみができてうれしい

――とくにワクワクしたポイントはどこでしたか?

黒﨑 なんといっても村瀬監督の演出が素晴らしかったです! 『ハサウェイ』の原作小説もですが、富野由悠季監督のキャラクターは「必ずしもお話に必要ではないセリフ」をしゃべるじゃないですか。たとえば、ハサウェイがホテルの部屋でギギの半裸を見てしまったあとの「散歩に出るが」と声をかけるシーンとか。


――カットしてもお話のつながりとしては問題なくつながると?

黒﨑 お話としては成立するのですが、律儀にギギに声をかけるシーンをあえて入れることで、ハサウェイがどんな男かを視聴者が感じられるんだと思うんです。プロットで言うなら骨ではなくお肉の部分なんですけど、それがあることで良い意味での空白=想像の余地が生まれるというか。ハサウェイについての描写としては、飲み物を飲むシーンでいつも飲み物を飲めていないのも気になっていて……ハサウェイというキャラクターが自らの意思以上にまわりから祀(まつ)り上げられて、この立場にならざるを得なかったことの象徴なのかなとか。私の深読みのしすぎかもしれませんが(笑)。


――考察がはかどりますね。

黒﨑 また、そういった空白を表現するアニメーターの方も一級の方ばかりなんですよ。マフティ陣営のモビルスーツが夜襲をかけてきて、逃げ惑うハサウェイとギギが壁の陰に避難するシーンで「こんなの怖い」というギギを抱きしめるハサウェイの手の動きとか。普通に抱きしめる芝居を描けばすむところを、合間にハサウェイの表情のカットをはさみながら、ふたりの手が徐々に動く様子を描いているんです。その微妙な手の芝居からにじむ感情を表現できるアニメーターが揃っているからこそ、こんな描写ができるんだろうなと。キャラクターデザインを担当された恩田尚之さんのタッチも、いい意味でバタ臭いというか、クラシックな趣があるところが作品の内容とマッチしていますよね。本作の大人びた空気感を表現するのにはぴったりだと思います。ブルーレイで何度も見ているのですが、これも語り始めると止まりませんね(笑)。


――前回の『追憶編』のインタビューでもそうでしたが、黒﨑さんは作品の中にある「間」や「余白」を大事にしていますよね。

黒﨑 TVアニメでは24分と尺が決まっている以上、どうしても取捨選択が必要になってしまうのですが、最近の作品は視聴者に飽きられないようテンポよくお話を進めてしまいがちな気がしていて。行間を読むとか空白を作るというのは古典的な表現だと思うのですが、今では贅沢な表現手法といえるかもしれません。


――「『ハサウェイ』前」と「後」で、黒﨑さんの中で何か変化したものはありましたか?

黒﨑 村瀬監督は作家性の強いクリエイターさんですし、こういう演出にしたいという意思が固かったんじゃないかと思うんです。それが画面からも伝わってくるので、作品にブレが一切ない。カッコイイし憧れるのですが、自分がプロデュースする立場であれば、絶対真似できないなと思います。こういう作品を送り出すなら、いろいろな世代に広く見てほしいというような甘っちょろいことはやらないという覚悟が必要なんだというのが学びです。また、やりたいこと・ストイックな演出を突き詰めても許される世界があるというのは業界のクリエイターにとっても希望ではないかと思います。ただ、私個人としては、業界としての学びというよりはいちファンとして楽しみができてうれしい気持ちのほうが大きいです。次はいつだろう~!という。作る労力を考えるとそんな一朝一夕でできる作品ではないことはわかっているのですけど。『ハサウェイ』が続いている限りは死にたくありません……!(笑)


③アニメビジネスに対する考え方が変わった

『魔道祖師』

『Fate』関連アニメ作品や『活撃 刀剣乱舞』のアニメプロデューサー、中国アニメの日本語版ローカライズなどにも携わる黒﨑静佳が選ぶ「人生に影響を与えた」アニメ3選。インタビュー連載の最終回は、自身が日本語版制作に携わった『魔道祖師』について。


中国アニメの存在が日本のアニメ業界の今後の展望を感じさせてくれる

――黒﨑さんは中国アニメの日本語ローカライズプロデューサーとしてさまざまな作品に参加していますが、『魔道祖師』はそのきっかけになった作品ということでしょうか?

黒﨑 そうですね。ただ、作品単体というよりは、この作品をきっかけに「中国アニメ」というジャンルに触れて、アニメはもう完全にグローバルな文化になっていて、今後は世界基準で物事を考えていかなければいけないなと考えるようになりました。


――2019年に観覧した中国のフィギュアスケートのエキシビジョンで『陳情令(『魔道祖師』の実写ドラマ版)』の楽曲が使用されていたことが、『魔道祖師』を知るきっかけだったそうですね。

黒﨑 曲がかかった瞬間の観客の反応が、もう「発狂」というぐらいのものすごい勢いで、調べてみたら「アニメもあるんだ。原作はBL小説なの!?」と。ちょうど中国のアニメ映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』の日本語字幕版が日本で上映されて話題になっていたのも同じ時期で、私も作品の出来の良さに驚いていろいろとリサーチしていた頃だったので、タイミングが重なった感じでした。


――ちなみにその当時、日本アニメについてはどのように感じていましたか?

黒﨑 当時の私個人としては、日本のアニメ業界は少し停滞していたというか……原作の枯渇を感じていました。Twitterでバズったり話題になった作品があると、連載開始間もないタイトルでもすぐさまアニメ化の話が立ち上がったりして、その結果、テンプレートに沿った似たようなアニメが毎シーズンいくつも並んでいて。これで数年後はどうなるのかなあと。なので、海外にも面白い原作があるんだと知ったときには、目の前が開けた気がしました。


――当時の日本のアニメファンが抱いていた「中国アニメ」のイメージを良い意味で裏切っていたと?

黒﨑 個人として注目していた韓国・中国のアニメーターはいたものの、私も以前は「アニメ制作においての中国は日本のグロス先」のようなイメージを抱いていました。でも、実際は中国アニメは日本アニメとは違うオリジナルの表現やマーケットをすでに確立していて、『羅小黒戦記』や『魔道祖師』ではそれを目の当たりにして驚かされました。


ふたりには末永く幸せになってほしい

――『魔道祖師』の中国アニメならではの表現や魅力について、黒﨑さんのおすすめポイントはありますか?

黒﨑 『魔道祖師』は原作小説を徹夜で読んでしまったくらいお話も面白いのですが、アニメに関しては美術やレイアウトの素晴らしさをとくに推したいです。自然物の描写もリッチですが、中華風の建築をフレームとしてうまく活かしているなと。たとえば、前塵編の第3話では書棚の手前にカメラを置いて、棚をはさんで向こう側の人物を映すシーンがあるのですが、実写映画さながらの凝ったレイアウトなんです。そういう高級感のある画作りが全編にわたって行われていて、古代中国の異国情緒も醸(かも)し出しているのが、本当に素晴らしい。中国や韓国のクリエイターさんって絵を立体的にとらえて肉感的なイラストを描かれる方が多いと思うのですが、映像作りもすごく実写的なんですよね。


――日本アニメのレイアウト作りとは異なる?

黒﨑 良い意味で日本的なアニメのお作法に囚われていないと感じます。エンタメに関して表現の制限はあるかもしれませんが、そういった部分を中国の作品には突き詰めていってほしいと思っています。最近では、英語圏でも中国のアニメは「动画(dònghuà)」と呼ばれて日本のアニメとは別のものとして扱われていますし、もう日本を追随する時代は終わって、自分たちのクリエイティビティを発揮する段階になっているんだと痛感します。こういう話題になると「日本のアニメ業界の人間として危機感を感じることはないか?」とよく聞かれるんですけど、全然ないです。というより、違うジャンル・文化として確立した以上、同じフィールドで争い合うような関係ではないと私は思っているので、むしろワクワクしています。


――中国アニメが成熟していくことで、日本アニメの市場にもソリューションが生まれると?

黒﨑 原作的な意味でもプロデュース的な意味でも、今までとは全然違うビジネスだったり、アプローチができるようになるんじゃないかなと。日本の原作を中国でアニメ化したり、逆に中国の原作を日本でアニメ化するとか、共同で何かを作るのも面白そうです。言葉も文化も違うから大変でしょうけど、やってみる価値はあると思います。先ほど『魔道祖師』は原作小説も面白いとお話しましたが、面白さのポイントとしては万国共通で、日本人にも喜ばれる内容だったからこそ日本語版アニメも受け入れられたんじゃないかなと。


――「中国ならでは」だけど「中国だけ」ではない魅力があると。

黒﨑 かの『三国志』しかり、中国の物語って国と国、勢力と勢力が覇を競い合うような大きな話のほうが好まれる傾向にあるんですが、『魔道祖師』はそういったセットアップをしながらもプロットはシンプルで。復讐劇と謎解きを主軸に据(す)えて読み応えのあるお話を繰り広げながらも、究極的には主人公である魏無羨(ウェイ・ウーシエン)と藍忘機(ラン・ワンジー)ふたりの関係を描くお話なんです。私は原作の小説を読み終わったあとで、このふたりには末永く幸せになってほしいよ~!と身悶えていました(笑)。そういうプリミティブな物語は本当にどの国でも受け入れられると思いますし、今後もこういった魅力を持った作品が日本でも中国でもたくさん生まれてくれることを楽しみにしています。






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