【生肉转载】Febri TALK系列——岸诚二

取材・文/前田 久


来源:日本深度动画内容网站Febri

采访发布时间:2025年3月21日~25日

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①若いスタッフが「祭」状態で作った

『瀬戸の花嫁』

『結城友奈は勇者である』シリーズなど、数々の人気作を手がけてきたヒットメーカー・岸誠二が自身のキャリアの転機になったアニメ3作品を振り返る。インタビュー連載の第1回は盟友・上江洲誠をはじめ、岸作品を支えるスタッフたちが結集した初期の代表作について。


自分が関わった作品が世の中に受け入れてもらえた実感を味わいながら作れた

――自作からキャリアのターニングポイントになった3作品を選んでもらいましたが、1作目に挙がったのは『瀬戸の花嫁』です。どのような理由で選んだのか、詳しく聞かせてください。

この作品にはのちのちの作品で組むスタッフがひと通り集結しています。そういう意味で、大きなターニングポイントのひとつだったと思いました。GONZOのプロデューサーだった吉田悟さんからお話をいただいた作品なのですが、別の作品でご一緒していたときに「もうちょっと自由に作れる作品だったら、さらにいい仕事ができるんじゃないか?」と言われていたんですよ。そこから話がつながって、まかせていただきました。原作の木村太彦先生も非常に理解のある方で、とてもやりやすかったですね。本当に、初めて好き勝手やりました(笑)。それまでは自分のやろうとしていることのハードルが高すぎて、実現できないことも多かったので。


――自由度の高さに加えて、充実したスタッフが集結していたからできたことも多かったと。それだけのスタッフが集まったきっかけは何だったのでしょうか?

脚本の上江洲誠は、プロデューサーの紹介でした。「若手のいい脚本家がいるのでどうですか?」と紹介されて。私もですが、彼もまだ当時は駆け出しでした。ふたりとも、とにかく多くのお客さんに喜んでもらうことを考えていて「面白くなれば、なんとかなるんだから、そのためにはオレたちの言う通りにしやがれ!」とまわりに言える勢いがありました(笑)。音響監督の飯田里樹さんは『瀬戸の花嫁』の前にやった『マジカノ』からの流れです。作画はアニメーターの森田和明をはじめ、ウチ(※)のスタッフが全面的に参加しています。(本作をGONZOと共同制作した)AICから参加してくれたスタッフにも若い子が多くて、みんな馬力がありました。若さと体力、それと野心みたいなものにまかせて作っていましたね。

※岸の所属する株式会社ロジスティックスのアニメ制作部門「チーム・ティルドーン」


――どういうことでしょう?

スケジュール的に余裕のある状況ではなかった……というか、放送を見たお客さんの意見が、リアルタイムでその数話先に反映できてしまうくらいのタイトなスケジュールだったんです(笑)。でも、そのおかげで自分が関わった作品が世の中に受け入れてもらえた実感を味わいながら作れた。若いスタッフが初めてそんな経験をしたものだから、熱量がどんどん上がっていったんです。面白かったですね。全セクションがその勢いで、最終回のあたりではとくにその熱量が爆発しています。最終回の制作期間は1カ月くらい。演出を自分がやって、作画スタッフはフルメンバーで挑んでギリギリなんとかなりました。言ってしまえば、ずっと文化祭の前日が続いている『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』状態……いや、お祭りそのものがずっと続いているような感覚かな。そうじゃなきゃ、保たないような状態でした。


――しんどいものの、楽しくてしょうがないような。

この業界は作ったものに対して、とんでもない対価が得られるかというとそんなことはありません。それなのになぜ一生懸命やるのかというと、たぶん「祭」の状態が面白いから。今、そこをまともにしようとする流れがあります。無茶を減らすこと自体はいいことですが、「祭」をなくしてしまうと業界全体の活力まで減ってしまうのではないかな……という気が少ししています。

――美少女ものとしても冴えた内容でしたし、パロディも振り切れた作品でしたね。

パロディに関しては、この作品で「ここまでやったら怒られるのか」というのがわかって、その意味でもいい経験をしました(笑)。パロディがどこまで許されるかの具合って、時代によっても変わるじゃないですか。当時は別にそんなことを考えていたわけではないですが、いいリトマス紙になったのかな、と。


――監督として、やりたいことがほぼ実現できた現場だった?

ほぼ100%に近い形で通すことができました。もちろん、実現できていない部分も多々ありますが、そこも含めて「自分の責任です」と言える作品です。余計な外部の要素が絡んでできなかったわけではない。その分、結果的にいろいろな人にご迷惑をおかけしたところもありましたが。その意味では、声優さんたちも大変でしたね。キャストもみんな若かったからできた部分があったと思います。最近会うと、とくに男性陣は軒並みいいオッサンになっていてびっくりしますね。「お前ももう、こんな歳か!」と。恐ろしい話です(笑)。


――放送されていたのは2007年、15年前ですものね。前年に『涼宮ハルヒの憂鬱』がU局放送の深夜アニメから大ブレイクし、これからアニメが大きく盛り上がるような勢いがファンにも、業界全体にもある時期だった気がします。

そうですね。京アニさんが頑張って、深夜アニメを盛り上げ始めた時期でした。それでいうと、『瀬戸の花嫁』は東京だと『らき☆すた』の裏での放送だったんです。だから正攻法では勝てるわけがない、と(笑)。ただ、『らき☆すた』がどうこうというより、どの時間帯で放送しても、そのクールのダークホースになるだろうと考えていて、だからこその「好き勝手やってしまえ!」というノリだったわけです。結果的にその作戦がうまくいってよかった。業界に爪痕を残せた作品だったかなと思います。


②数字を叩き出す覚悟で挑んだ

『Angel Beats!』

オリジナル作品から『Persona4 the ANIMATION』といった人気原作ものまで、幅広い企画を手がけるヒットメーカー・岸誠二が、そのキャリアの転換点となったアニメを振り返る全3回のインタビュー連載。第2回は人気ゲームクリエイターと「覚悟」を持って取り組んだ大ヒット作を語る。


これ以降の自分の作品づくりは、麻枝さんに影響されている

――2本目は『Angel Beats!』です。ゲーム業界で活躍していたクリエイターである麻枝准(まえだじゅん)さんの、オリジナルアニメ初挑戦作品でした。

これも後の自分の作品につながるスタッフたちが集まった作品ですが、このときは「意地でも数字を叩き出す」ことを目標にしました。何が何でも売ってやる、の一点突破で、麻枝さんと心中する覚悟で作りました(笑)。多少無茶でも、売れるシーンになるなら死んでも映像にしてやる、と。今思えば、よくやれたなと思います。銃撃戦をやって、ライブをやって、コメディもやって……という詰め込みよう。今だったら「絶対無理です」と返していたし、現場からも言われてしまうでしょう。それをなんとか成立させるべく、現場を巻き込んで、大変な騒ぎを起こしながら作りました。


――「心中する覚悟」とは穏やかではないですね。

麻枝さんの書いてくるものはすごく面白いのですが、アニメの脚本として考えると「行儀が悪い」。でも、そんなことは知ったこっちゃない、「これが麻枝さんのやりたいことなんだ!」と腹を括って映像に落とし込む。そういう「覚悟」ですね。大変だけど、面白かったですよ。あり得ないような展開やシチュエーションが登場しますし、そもそもの麻枝さんのスタンスも、普通のアニメの脚本家とは違う。麻枝さんの持つプロデューサー的な目線も勉強になりました。後々の自分の作品づくりは、麻枝さんに大きく影響されている気がします。「今、お客さんが何を求めているのか?」という部分を、ものづくりの指針として明確に意識するようになりました。P.A.WORKSの現場的には、あれだけの修羅場はそうそうなかったと思いますけどね。よく耐えてくれたな、というのが正直なところです。あと『Angel Beats!』では編集の高橋歩さんとの出会いも大きかったですね。この作品で初めてご一緒して、それ以降、お願いできる限りはとにかく参加していただいています。


――高橋さんの編集は何がどう、岸監督にとって重要なのでしょう?

どんな作品でも、的確な尺(映像の長さ)の取り方、間の取り方ができる。引き出しがたくさんあるんです。言い換えると、監督とほぼ同じ目線で作品を見ることができて、何を軸にして映像を切っていくのかがすぐに判断できる人です。作業の段取りも早いですし、とにかく優秀ですね。『Angel Beats!』はとくに「これだけの内容は、どう考えてもこの尺に入らないよね?」ということが多かったんですが、こちらからのオーダーは「とにかく叩き込みましょう!」でした。普通のテンポでやっていたら絶対に入らない。ギャグは『瀬戸の花嫁』のようにテンポよく走り、ドラマ部分は尺がないんだけれども、あるように見せてほしい。そう考えてギリギリを走りつつ、詰め込めるだけ詰め込んだ作品でした。それって普通の編集のやり方だと絶対にできないんですよ。「これじゃ入りませんね」で終わってしまう。でも、高橋さんは「じゃあ、なんとかしてみます」と応えてくれて、実際になんとかしてしまう。同じような仕事をしてくれるのはもうひとり、当時AICにいた櫻井崇さん(現在は颱風グラフィックス代表)くらいでした。編集は作品のクオリティを大きく左右するポジションなので本当に大事で、当時も今も、私の作品ではおおいに助けてもらっています。

――本作以降、監督の作品の常連になる方だと、声優の緒方恵美さんもですよね。

そうですね。このときは音響監督の飯田里樹さんの紹介でした。初めて緒方さんの芝居を聞いたときはしびれました。第6話から登場する直井文人というキャラクターを演じてもらったのですが、こいつは「どんなキャラやねん!」と思わずつっこんでしまうほどに情緒不安定なのに、緒方さんが声を当ててくれたおかげで一定の説得力が出たんです。よくこのキャラを説得力のある芝居に落とし込めたな、と。アフレコのとき、他の声優さんたちから「このままだと情緒不安定なキャラになりませんか?」と質問されて、「情緒不安定でいいんです!」と返すやりとりをよくしていたんですよ。当たり前の話ですが、お芝居ができる方はセリフとセリフのつながりを気にしてくれます。そうした違和感を芝居でなくしてくれるくらい、キャスト陣も強力な人がそろっていて、そこにも救われた作品でした。とりわけ緒方さんには本作以来、ことあるごとに出演を頼んでいます。変な言い方ですが、私にとっては難しい役を気軽に頼める存在ですね。


――各話の絵コンテ・演出のスタッフも豪華でした。

若い方もベテランも含めて、強力なメンバーが集まってくれました。橋本裕之さん、柿本広大くんをはじめ、この作品に関わったあとに監督になる人がたくさん出てきました。自分の考えがはっきりとあって、映像設計ができる優秀な演出家がそろっていた。それ以外にも優秀な人たちが参加していて、変わったところだと現在は3DCGの制作会社の責任者になっている人がいたりします。参加スタッフの多くが、「(自分の)ターニングポイントになりました」と言ってくれる作品ですね。


③存在しなかったものを世に出せた

『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』

『天体戦士サンレッド』『ケンガンアシュラ』など意欲的な企画を数多く手がけてきた岸誠二が、キャリアのターニングポイントとなったアニメ振り返るインタビュー連載。ラストとなる第3回は、セルルック3DCGによるTVアニメの道を切り開いた、歴史的な一作を取り上げる。


セルルックの3DCGがキャラクター商品として成立するだけのクオリティになった

――3本目は『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』です。これを選んだ理由は?

これはわかりやすいです。世の中に存在しなかったものを送り出せた作品だからですね。当時、日本の深夜アニメの流れにあるTVシリーズを、3DCGで制作した人がいなかった。だから明確に「業界全体のターニングポイントにしてやれ!」という気持ちで作りました。ずっと「そんな企画できるわけがない。仮に通せたとしても、商売になることはあり得ない」と業界の人たちから言われていたんです。でも、すでにTVシリーズでも部分的には3DCGが使用されていましたし、サンジゲンがEDアニメだけは3DCGだけで作ったようなタイトルもあって、それらが画面として耐えられるものになっていた。それなら、サンジゲンくらいスタッフを抱えているCG会社なら、全編3DCGでTVシリーズを制作できるだろうと思ったんです。


――そもそもこの原作をアニメ化するのは、どういった流れだったのですか?

フライングドッグのプロデューサーだった南健さんからお話をいただいたのですが、「この戦艦は手描きではできないし、やるならキャラクターを含めて全部3DCGでしょう」と言ったら面白がってくれて。それからすぐにサンジゲンへ出向いて、代表の松浦裕暁さんに話したところ、すぐに「やろう」と言ってくれた。松浦さんも同じ野心があったんでしょうね。とはいえ、『Angel Beats!』同様、これも無茶をした作品ではありました。


――前例のない企画というのは、そういうものですよね……。

その分、今だったら「無理だ」と言われるくらいのことを、加減なしでやれたんですよ。誰もが手探りだから基準がわからなかった。「やれるんじゃない?」という感じで始めたから、大変だったけれども最終的になんとかできたんです。スケジュールは潤沢な状態で始まったのですが、最後のほうは詰まってきて、まだ現場が動いている時期に放送が始まってしまったんですよね。3DCG作品なのに(笑)。


――3DCGの作品は手描きのようにはスケジュールを短縮しづらいので、なかなかそれは怖いですね。

ただ、そのおかげで『瀬戸の花嫁』のときのように、お客さんの意見を聞きながら終盤の話数を作ることができた。最終回あたりを作りながらお客さんの反応を見て「いけるぞ!」と思えたことで、作業に無茶なブーストがかかったんですよ(笑)。それはそれで結果的にはよかったですね。ちゃんと数字で結果も出せましたし。


――そこから劇場版が制作されるほどのヒット作になりましたものね。

ありがたかったですね。プロデューサーも数字を出すためにいろいろな仕掛けを頑張ってくれて、その力も大きかったですが、やはりセルルックの3DCGがキャラクター商品として成立するだけのクオリティになっていた点が大きい。それだけのものをTVシリーズで示せたのは、のちのちの企画にも影響が大きかったです。

――セルルックの3DCGアニメによる初のTVシリーズという点も苦労があったと思いますが、そもそも原作が未完の状態だったのも大変だったのでは?

シリーズ構成は非常に難しかったです。4回くらい作り直しているんですよ。最初の段階ではSF的なところをガチガチに固めた内容になっていました。それがある日、SF考証をしてくださっていた森田繁さんがぼそっと「みんな、この作品で『SF』って見たいのかな……?」とおっしゃって。場が凍りつきましたね(笑)。


――混迷した議論の前提がひっくり返った。

衝撃でした。さらに森田さんから「お客さんはメンタルモデル(※)が見たいんじゃないの?」と言われて「そうかもしれない……」と。その結果、上っちゃん(上江洲誠。本作のシリーズ構成を担当)には迷惑をかけました(笑)。心が折れかかっていましたが、なんとか頑張ってもらって、キャラクター同士の感情の流れを主体にした「キャラクター劇」として成立するシリーズ構成を作ってくれました。とにかくメンタルモデルを面白く、かわいく見せながら、その裏にあるしっかりとしたSF設定を楽しんでもらう。結果として、少し情緒不安定に陥ってしまったコンゴウを止めるべく、同じメンタルモデルのイオナが頑張る話に落ち着きました。「3DCGのアニメを商品として送り出す」というテーマにおいて正しい判断だったと思います。初めての3DCG作品という先入観から、スタッフみんながSF方向にイメージの舵を切っていたんですよね。でも、そこでSFの御大が「違うんじゃない?」と言ってくれたことで目が覚めるという(笑)。

※本作に登場する、戦艦に宿った知性・意志が人間の姿をとったもの


――スタジオぬえの方がそれをいう意味は大きいですよね(笑)。

おかげで助かりました。現場にはSFが好きな人間が多いので、フィルム感は勝手にそちらに寄っていくんですよ。だから我々が商品として意識しないといけないのは、そこじゃないと。こだわるべき部分がはっきりとわかって、面白い瞬間でした。劇場版になっても、キャラクター劇の軸はブレませんでしたからね。そうそう、劇場版は総集編と新規パートの『DC』と完全新作の『Cadenza』の2作を作らせてもらえて、それはそれでありがたかったのですが、『DC』の新作部分と『Cadenza』を合体させて一本にしたものを作らせてくれないかなぁ……と、いまだに考えることがあるんですよ。何かをきっかけに、実現したらうれしいですね。






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