【生肉转载】Febri TALK系列——小山恭正

取材・文/岡本大介
来源:日本深度动画内容网站Febri
采访发布时间:2022年8月29日~9月2日
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①音作りにもっとも時間をかけた
『ガールズ&パンツァー』シリーズ
生活音から爆発音まで、音楽とセリフ以外のすべての音を作り出している音響効果技師。今回は数々の人気アニメの音響効果を手がける業界トップランナーのひとり・小山恭正氏に、自身の作品から印象的な3作品を選んでいただいた。最初の作品はTVシリーズから劇場版、そして最終章まで10年以上の付き合いになる『ガールズ&パンツァー』。
「戦車の音がリアル」と評価されて心中複雑でした(笑)
――『ガールズ&パンツァー(以下、ガルパン)』シリーズの最大の特徴と言えば、大迫力の戦車戦ですね。
小山 水島努監督とは以前から別の作品でご一緒していたので、そのときから「次は戦車の作品なので、お願いします」と言われて自分なりになんとなくイメージしていたんですけど、いざ打ち合わせで「女子高生たちが戦車で部活をする話です」と聞いたときには「この人は何を言っているんだ?」と(笑)。
――たしかに斬新な世界観ですよね。音響効果の方向性については具体的な要望はあったのですか?
小山 とくにはなかったですね。戦車の音についても「好きに作ってください」ということでしたので、わりと自由にやらせてもらいました。
――戦車の種類によって音が違っているなど、かなりリアルな印象を受けますが、これは実物の音を録音しているんですか?
小山 いえ、作中に登場する戦車の音はほとんどファンタジーです。最初は本物の音を忠実に再現してみようかと思ったんですが、実際の戦車の音を聞いてみると、ほぼエンジンの音しかしないんですよ。
――そうなんですか? 戦車と言えばキャタピラや砲塔の駆動音のイメージがあります。
小山 そうですよね。なぜなら映画やドキュメンタリー映像に登場する戦車のシーンは音が足されていることがほとんどで、それを我々が本物の音だと思い込んでいるからなんです。実際にはエンジン音しかしないんですが、映像として映えるように加工しているんですね。『ガルパン』もそれは同じで、エンタメ作品として成立させるため、ファンタジーとして音を作っています。
――そうだったんですね。てっきり本物の音かと思っていました。
小山 実際に多くの人から「戦車の音がリアル」と評価されてしまって、僕としては心中複雑でした(笑)。当時はあえてネタバラシはしないでおこうと思って黙っていたんですが、この際ですのでハッキリ「偽物」だと言っておきますね(笑)。
――ということは、戦車のキャラクター性に合わせてそれぞれ音を作っているんですか?
小山 そうです。まずは主人公機であるIV号戦車D型の音を決めて、それから他の戦車を順に決めていきました。自分なりにそれぞれの戦車の性格を考えて、キャラクター化している感覚ですね。エンジン音に関しては、ガソリンとディーゼルで音が大きく異なるので、そこに関してはわりと本物を忠実に再現していますが、それ以外は完全にイメージ重視です。

――TVシリーズ、劇場版と続き、現在はOVAシリーズ(『ガールズ&パンツァー 最終章』)も展開されています。この10年で音響は変化しているのでしょうか?
小山 もちろんです。音楽に流行があるように音響効果にもトレンドがあるので、10年前の音を今使うと、どうしても古臭く感じてしまうんです。方向性としては、劇場版はTVシリーズのグレードアップバージョンで、『最終章』についてはイチから新たに音作りをしています。
――具体的には何が違うのでしょう?
小山 わかりやすく言えば、劇場版までは盛り盛りでゴージャスな音作りだったのに対して、『最終章』はもっと鋭く研ぎ澄まされた音になっています。決めるところは決めますが、全体としての音圧はやや控えめな傾向があります。逆に言えば、劇場版はゴージャス志向のピークで、これまで僕が関わってきた作品中でも随一の手間ひまがかかっています。
――劇場版でとくにこだわったシーンはありますか?
小山 やはりクライマックスの島田愛里寿vs西住みほ&まほのバトルシーンですね。ここはもともとすべてのカットにBGMがついていたんですけど、水島監督に「全部に音楽が入っていると戦車の音が立ちにくいですよ」って言ったら「じゃあ、最後は音楽もセリフも抜きます」って(笑)。あの最後の決着シーンは、敵である愛里寿の強者感はもちろん、TVシリーズで激闘を繰り広げたみほとまほが見事なコンビネーションを見せるカタルシスも表現する必要があり、それを音楽やセリフの力を借りずに効果音のみで示さないといけなかったので、とてもプレッシャーを感じました。「自分の首を締めるようなこと言っちゃったな」とも思いましたけど、結果的には手応えを感じるシーンになって、苦労はしつつも楽しかったですね。
――あの決着シーンは、音楽が消えることで一気に緊迫感が増していますね。
小山 そうですね。ここに至るまでに音楽やセリフで大きな盛り上がりを作れているからこそできることではあるんですが、効果音にこういう役割があるというのはこのシーンで初めて実感しました。みほとまほの2輌がギャリギャリと丘を駆け上がっていき、愛里寿と対峙した瞬間は効果音すらも消えるんですが、そこは侍やガンマンの決闘シーンのようなイメージで、一瞬のブレイクを作ることで緊迫感をマックスまで持っていき、そこから一気に決着がつくという演出です。
――無音だからこそ生まれる演出があるんですね。
小山 それは僕自身もとても勉強になりました。音楽がつかない演出は他の作品でもやっていますが、もっとも重要なシーンを効果音だけにまかせていただいた作品は初めてだったので、水島監督には感謝しています。
②劇場版ならではの音作りに手応え
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』
生活音から爆発音まで、音楽とセリフ以外のすべての音を作り出している音響効果技師。今回は数々の人気アニメの音響効果を手がける業界トップランナーのひとり・小山恭正氏に、自身の作品から印象的な3作品を選んでいただいた。2作目は、TVシリーズとは違う劇場版ならではの音作りに挑戦した『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』。
作品全体の起承転結を意識した「レンジコントロール」
――『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』は、TVシリーズ第2期放送直後の2015年に公開された完全新作でした。効果音はまた新たに制作したのでしょうか?
小山 はい。それまでは日本国内だった物語が、劇場版では東南アジアが舞台になったので、塩谷直義監督から「海外感を出したい」というオーダーがあったんです。なので、アジアの闇市っぽい雰囲気の環境音はかなりたくさん集めました。あちこちで鳴り響くクラクションなど、街の喧騒はとくに意識しました。
――劇場版はシナリオやレイアウト、演出のすべてがハリウッド映画のような印象を受けました。音響効果もそれに合わせて劇場感がありますよね。
小山 僕が今回『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』を選んだのは、まさに劇場用の音作りというものを初めて意識した作品だからなんです。以前にも劇場版の音響効果を手がけたことはあったんですが、それまではずっとTVシリーズの延長線上で音作りをしていました。でも、おっしゃる通り、この作品はシナリオもレイアウトも完全にハリウッド的な作りになっているので、テレビ用の音響効果ではどうしても絵に合わないんです。音響監督の岩浪美和さんから「これまでの音響ではこの企画自体が成り立たなくなる恐れがあるから、全体的にプランを練り直してほしい」と言われて、それで初めて劇場用の音作りというものに取り組むことになりました。
――テレビ用と劇場用では、具体的に何が違ってくるんですか?
小山 「レンジコントロール」が違いますね。レンジというのは、端的に言えばボリュームの範囲のことですが、いちばん大きく聞こえる音と小さく聞こえる音の差が、テレビ用の場合は小さく、劇場用は大きいんです。たとえるなら、テレビの音響は水道の蛇口を一定に開いていて、劇場版はシーンに合わせて開いたり閉じたりするイメージです。
――なるほど。作業的には劇場用のほうが手間ひまがかかるんですね。
小山 そうですね。しかも単純にシーンに合わせていくだけでなく、フィルム全体を通じてレンジをコントロールする必要もあるのでかなり大変ではあります。
――それはどういうことでしょう?
小山 『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』で言えば、冒頭のアクションシーンはかなり大きめの音で盛り上げ、そこから日常シーンに入ると極端に小さくなり、中盤の盛り上がりでは冒頭を超えない程度で鳴らして、最後は一気に最大値で流すイメージです。物語全体の起承転結に合わせたレンジを定めて、その中でさらに各シーンごとに小さな起承転結を作っていく感じですね。

――全体のシナリオ展開に合わせて、音響面でも演出を施しているわけですね。
小山 その通りです。これは劇場だからこそできる仕掛けであって、テレビではできないんですよ。リビングでテレビを見ていたとして、突然大きな爆発音が入ったらビックリしますし、逆に小さすぎる音は周囲の生活音に紛れて聞き取ることができないですから。でも、劇場であれば、お客さんはみんなスクリーンに集中していますよね。そのおかげでかなり小さな音でも聞き取ることができるんです。僕も最初は「こんなに小さい音で大丈夫かな?」と不安に思ったくらいでしたが、実際に劇場で体験するとしっかりと効果を発揮しているんですよね。
――チャンネル数の違いによって音作りも変わってくるんですか?
小山 チャンネル数が増えれば音の配置の仕方も変わります。テレビはステレオなので、LとRだけですが、劇場は前方部だけでLとRに加えてC(センター)があって、これがあるのとないのとでは音の作り方がけっこう違ってくるんです。これは経験則的に学ばないと身につかないところで、以前に『劇場版 BLOOD-C The Last Dark』を担当した際、映画館で鑑賞したときにあまりよく聞こえなくて反省したことがあるんです。『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』はそういう意味でリベンジしたい気持ちもありましたし、結果としてうまくできたという手応えも感じました。新しいことにチャレンジしたという意味で、自分の中でターニングポイントになった作品ですね。
――こだわっている音響効果だけに、パソコンやテレビなどで視聴した際にはあまり気づかないのは残念ですね。
小山 劇場と同じ感覚で楽しみたい場合は、圧縮の少ないBlu-rayを5.1ch環境で楽しむことをオススメしますが、レンジコントロールという点で言えば、少し高いイヤホンやヘッドホンで聞くだけでもずいぶんと違いますよ。劇場での音響体験とは方向性は違いますが、2万円くらい出せばかなりいい音で楽しめると思いますので、興味のある方は試してみてください。
――そうなんですね。では、最後に『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』でとくに印象深いシーンについて教えてください。
小山 冒頭の狡噛慎也(こうがみしんや)による狙撃シーンはお気に入りですね。観客を物語に引き込むためにも、あのあたりの音響はかなり強く音圧をかけているんですが、「これぞ映画!」っていう感じで、いい意味でハッタリを効かせられたかなと思っています。
③「夢は叶うもの」と実感した
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ
生活音から爆発音まで、音楽とセリフ以外のすべての音を作り出している音響効果技師。今回は数々の人気アニメの音響効果を手がける業界トップランナーのひとり・小山恭正氏に、自身の作品から印象的な3作品を選んでいただいた。3作目は、世界一好きなマンガだと公言してはばからない『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。
ディオの「時止め音」は思いのほか不評だった!?
――『ジョジョの奇妙な冒険(以下、ジョジョ)』については、Part2『戦闘潮流』から最新の『ストーンオーシャン』まで、シリーズに長く携わっています。
小山 『ジョジョ』は世界でいちばん好きなマンガで、まさか自分が関われることになるとは夢にも思っていなかったので、そういう意味で「夢って叶うんだ」と感じた作品です。もちろん、「仕事」として大切にやらせてもらっていますが、半分は「趣味」というか「ライフワーク」というか、とにかくひとりのファンとして「好き」を詰め込ませてもらっています。
――独特の擬音に加え無数のスタンドが登場しますから、やりがいがありそうです。
小山 最高です(笑)。とくにスタンドの効果音については、学生時代にマンガを夢中に読んでいるときに脳内で再生されていたスタンドの音をそのまま再現することも多いです。かつての「僕の考えた最強のスタンド音」が公式として堂々と発表できるなんて、この仕事をしていてこんなにうれしいことはないです。
――個人的にディオのザ・ワールドが時間を止める際の効果音がとても印象的で、あれは発明だと思っています。
小山 ありがとうございます。あれは僕自身もお気に入りなんですけど、オンエア当時の評判はあまり良くなかったんですよ。ちょうど某スポーツジムのCMが流行っていたので「ディオってダイエットしてるの?」って言われたり(笑)。悪いスピーカーで聞くと低音が鳴らずに「オナラの音みたい」と言われたり(笑)。僕としては大好きな音なんですけどね。
――『ジョジョ』には、普通のアニメ作品ではなかなか聞かない音がたくさん登場しますよね。小山さんがとくに好きなスタンドの音はありますか?
小山 たくさんありますよ。ディオの時止めも大好きですし、虹村億泰のザ・ハンドとかヴァニラ・アイスのクリームが空間をえぐり取る際の効果音も好きです。あとは広瀬康一のエコーズACT3が物を重くするときの音もいいですね。音って目には見えないものですが、こういう唸るような低音にはなんとも言えない圧力があって、実際に形があるような感覚になれるのが僕好みで、ついつい使いがちです。
――これらのスタンドに共通する極端に低いベース音というのは、音楽ジャンルで言うとダブステップやトラップなどのベースミュージックに使われるような低音ですよね。
小山 その通りです。今は一時期ほどではないものの、最近までとても流行っていた音楽ジャンルで、それってみんながこの低音を心地良いと感じているから聞いているんだと思うんですよ。

――小山さん自身もこういった音楽が好きなんですか?
小山 好きですね。ビリー・アイリッシュが登場したときなどは「音楽にここまでの低音を取り入れてもいいんだ」と衝撃を受けました。僕はアニメをあまり見ないタイプで、それよりも洋楽や洋画を見ることが多いので、音響効果の方向性は海外の作品の影響が強いと思います。とくに『ジョジョ』は海外でも人気のあるコンテンツなので、流行の洋楽テイストというのは意識しています。最近だと80’sっぽい音楽がまた流行ってきているので、わざとシンセっぽい音を入れたりもしています。
――『ジョジョ』も長く続くシリーズですから、効果音もトレンドを取り入れているんですね。
小山 そうです。『戦闘潮流』の頃の音は『ストーンオーシャン』では一切使っていません。たとえば、『ジョジョ』はスローモーション演出が多いんですけど、昔は演出のための音をつけていたんですよ。でも、今のマーベル作品などを見ると、ほとんど音がついていないんです。その理由は、撮影技術的にスロー演出が特別な見せ場ではなくなってきているということだと思うんですけど、そういうところも意識しながらなるべく今っぽい音作りというのを心がけています。
――他にお気に入りのシーンはありますか?
小山 あの……またスタンドの音の話で恐縮なんですけど(笑)、自分でうまくいったなと思ったのは、『黄金の風』のアバッキオのスタンド(ムーディー・ブルース)の起動音なんです。彼のスタンドは額にデジタル表示のモニターがついていて、両目と両手が電話の受話器やスピーカーのようなものが埋め込まれているデザインだったので、音も電話の発信音のようにしたら面白いんじゃないかと思って入れてみたんですが、そうしたら思いのほか味のある音になったんですよね。ムーディー・ブルースに限らず、『黄金の風』の主人公チームのスタンドはどれも個性が強くて、音を作るのが楽しかったですね。
――『ジョジョ』は原作が持つパワーが強いですから、かなり思い切った音も使えそうですよね。
小山 その通りだと思います。『ジョジョ』ではワザと絵に合わない音をつけるなど、かなり実験的なことをやらせてもらっています。それは原作の強度や懐の深さやもちろんですが、菅野祐悟さんの音楽が最高に素晴らしいというのもあるんです。演出や盛り上げに関してはすべて菅野さんの音楽におまかせしている感じなので、その分、効果音は悪目立ちしても大丈夫だろうみたいな(笑)。思う存分に自分なりの『ジョジョ』を追い求めることができる環境は、あらためて夢のような仕事だなと感じます。
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