【生肉转载】Febri特辑系列——《樱兰高校男公关部》动画放送20周年纪念,豪华STAFF座谈会。

取材・文/宮 昌太朗
来源:日本深度动画内容网站Febri
采访发布时间:2026年4月9日~14日
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■座談会参加者(カッコ内は当時の役職)
葉鳥ビスコ(原作)
五十嵐卓哉(監督)
榎戸洋司(シリーズ構成)
髙橋久美子(キャラクターデザイン・総作画監督)
中山しほ子(色彩設計)
大薮芳広(制作デスク)
南雅彦(プロデューサー)
①いまだ熱心なファンの多い学園コメディ『桜蘭高校ホスト部(白泉社)』。そのアニメ版放送開始から20周年を記念して、原作者の葉鳥ビスコ先生や監督の五十嵐卓哉さん、シリーズ構成の榎戸洋司さん、キャラクターデザインの髙橋久美子さんら、メインスタッフが顔を揃えた座談会を実施。この第1回では制作開始当初の原作に対する印象など、当時の思い出話をじっくりと聞いた。
ハルヒのキャラクターを思いついたとき「いける」と思った
――アニメ『桜蘭高校ホスト部(以下、ホスト部)』が放送から20周年ということですが、今日は当時のことを振り返りつつ、いろいろと話をしてもらおうと思っています。まずはアニメ化の経緯から聞かせてください。
南 じつは、この前に別口で一度、『ホスト部』アニメ化の話をいただいていたんですよ。ただ、そのときはスタジオで作れる本数(ライン)が限られていたこともあって、お断りしているんです。それから1~2年経って、今度は日本テレビさんかバップさんから声をかけていただいて、という。
大薮 ちょうどそのタイミングで、同じ白泉社さんが原作の『獣王星』の話も来ていたんですよね。で、『獣王星』はなんとなくボンズっぽい感じがあって(笑)、そちらは僕の先輩が担当することになったんです。
南 そうかそうか、『獣王星』と『ホスト部』はほぼ同時期だった。
大薮 それで南から「少女マンガ原作の企画が来ているんだけど、ウチにこれ(『ホスト部』)ができる人はいるかな?」と相談されたんです。もし、僕のほうで心当たりがあるなら、企画を成立させる方向で動きたい、と。(シリーズ構成の)榎戸洋司さんは以前、『ラーゼフォン』にも参加していただいていたし、僕は『少女革命ウテナ』も『美少女戦士セーラームーン』も大好きだったので、ぜひやってほしいなと。あと五十嵐さんに関しては、五十嵐さんが監督された『おジャ魔女どれみ』シリーズが大好きで、ずっと一緒に仕事をしたいと思っていたんです。実際、この前に『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』でコンテをやっていただこうと思って、コンタクトを取ったことがあったんですよね。
五十嵐 ただ、ちょうど同じタイミングで『劇場版 金色のガッシュベル!! メカバルカンの来襲』の監督の話をいただいていて。「やはりコンテよりも監督だ!!」と思いまして(笑)、お断りさせていただいたんですよね。そこからしばらく時間が空いて、僕が東映アニメーションを離れたタイミングで大薮君から連絡をもらったんですけど……。『桜蘭高校ホスト部』っていうタイトルを聞いて、ちょっと僕には無理なんじゃないか、って。
葉鳥 あはは(笑)。監督が「ホスト」って単語に引っかかったように、私も最初は「ホストって……」と思ったんです。というのも、『ホスト部』は最初に編集部からいくつかキーワードをもらっていて、お金持ちの学校で美男子がいっぱい、ホスト、男装女子で描きませんか?みたいな(笑)。それをもらったときに、わりと難しいなというか、私には向いていないなと思ったんです。ただ、「ホスト部」という設定をバカバカしく描けたら相当面白いことになるなと思ったのと、あとはハルヒのキャラクターですね。彼女のキャラクターを思いついたときに「これはいけるかも」と思えたんです。バカバカしい青春もので、人情ものというか優しいお話が描けたらな、と。

――そうだったんですね! ちなみにハルヒのどういう部分が「いける」と思えたポイントだったんでしょうか?
葉鳥 やっぱり男装女子って、あまりにも名作が多すぎるじゃないですか。私にはこれ以上、新しいものを生み出せないなと思ったんですけど、でも「重い理由がない」というのは、いいかもしれないと。とくに重い理由があるわけじゃなくて、ただ男装しているだけ(笑)。ホスト部のキラキラした男子に対しても全然興味がない女の子だったら、私に合っているんじゃないかなって思えたんですよね。
「カニは好きカニ」にハマって、これならできると思った。
――榎戸さんは、打診を受けたときの印象を覚えていますか?
榎戸 僕も監督と同じで、最初に話をいただいたときは原作をまだ読んでいなかったんです。だからタイトルを聞いた瞬間にパッと思い浮かんだのが、「どこかの男子校で、年齢を偽ってホストクラブで働いている少年たちのBLなんだろうな」というイメージで。
葉鳥 それはそれで面白そう(笑)。
榎戸 でも、読んでみたら全然違って、すごく面白かった。面白かったというか、これを描いている先生は、かなりポピュラリティを意識して描いていらっしゃるんだな、と思ったんですね。
五十嵐 そうそう。読ませていただいたいたときに「これはアニメにしたら面白そうだな」と思ったんです。ある意味、ボンズと僕の利害関係みたいなものがうまく合致した、というか。南さんがさっきおっしゃっていたように「少女マンガ原作なんて、ウチで作れるの?」と思っていたスタジオがあって、その一方で、そういう作品を長年やってきた人間がたまたま、ふわふわしている状態で。それがうまくはまって、作品ができたという。
大薮 そうですね。たしか五十嵐さんとお会いしたときにも、五十嵐さんから榎戸さんのお名前が出ていたんです。だから双方の思いが一致したところで、いいスタートが切れたというのはありましたね。
葉鳥 私もスタッフのお名前を聞いて、ちょっとこれはありえないというか(笑)。私自身、『セーラームーン』オタクで『明日のナージャ』も『少女革命ウテナ』も大好きだったし、『ラーゼフォン』も見ていたし。本当にやっていただけるのであれば、お任せするしかないなって感じでした(笑)。

――髙橋さんにキャラクターデザインをお願いしたのは、どういう流れで決まったんでしょうか?
大薮 これまたご縁があって『鋼の錬金術師』のテレビシリーズのあと、映画(『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』)にも参加していただいていて。あと五十嵐さんと話していくなかで「キャラクターをシルエットで見せたい」とか「マンガっぽくやりたい」という話が出てきたんですね。で、南さんや逢坂(浩司)さんにもご相談して、最終的に髙橋さんにお声がけするのがベストなんじゃないか、と。
髙橋 そのあたりのことは全然覚えていないんですけど(笑)。あるとき、スタジオに『ホスト部』の原作が置かれていて、最初は自分の得意な絵柄じゃないかも、と思ったんです。でも、せっかく声をかけてもらったんだし、と思って読んでいたら「カニは好きカニ」というセリフにすごくハマっちゃって。
大薮 それ、ずっと言っていましたよね(笑)。
髙橋 これならできるかな、と思ったんですよね。
大薮 あと髙橋さんは『鋼の錬金術師』のときに、原画の上がりと一緒にコミカルな猫のイラストを描いてくださったりして、上品なギャグ絵を描く人だなってずっと思っていたんですよね。
②『桜蘭高校ホスト部』放送開始20周年を記念したメインスタッフ座談会の第2回。今回は、キャラクターデザインのポイントや、当時の五十嵐監督とスタッフとのやり取りをめぐるエピソードをお届け。「見ていると、当時作っていたときのムードを思い出すんです」と話す、五十嵐監督が気に入っているエピソードとは?
「この表情を使いたい」と思わせる完成度の高いキャラクターデザイン
――『ホスト部』はギャグの要素もたくさんある作品ですよね。
大薮 わりとボンズの人たちはギャグ絵をそれほど描かない――というと『クッキングパパ』とか『ミスター味っ子』をやっていたんだけど、と怒られるんですけど(笑)。そういうなかで髙橋さんの描く絵は、すごく柔らかい印象があって、いろいろなバリエーションを出してくれそうだなと思ったんですよね。
髙橋 葉鳥先生に初めてお会いしたときに「こういう風にできたらいいな」と、ダメ元で絵を持っていったんですね。私は少女マンガが得意なほうではないので、どうかなと思っていたんですけど、それを見た葉鳥先生に喜んでいただけて。だったらいけるかもしれないな、というのはありました。

――当時の設定資料を見ると、メインのキャラクターの設定を3種類、用意していますね。
髙橋 ノーマルとデフォルメが入ったものと、あと描き込んだ設定ですね。描き込んだ顔はギャグで使うことが多かったりするんですけど、これまではわりと原画さんにどの絵柄を使うのかをお任せすることが多かったんです。でも『ホスト部』では、そこをあらかじめ、わかりやすく決めておく。そうすることで、あとの作業がスムーズに行くんじゃないかなと思ったんですよね。
五十嵐 僕から「こうしてほしい」みたいなことを言った記憶はないですね。もちろん、演出的な部分についてはお話したと思いますけど、髙橋さんのキャラクターデザインはどれもちゃんと雰囲気があるように描かれていて。むしろ「この表情を使いたい」と、こちらが思うくらい完成されていましたね。
周囲のスタッフに助けてもらいながら作った
――中山しほ子(色彩設計)さんはどういうタイミングで制作に参加したんでしょうか?
中山 『鋼の錬金術師』のあとだったかな。大薮さんから「はい、次の仕事はこれね」と。
大薮 さすがに、そんな雑にはお願いしていないですよ!(笑)
中山 最初は「できるかな?」と思ったんですけど「仕事だからやるか」みたいな(笑)。ただ、五十嵐さんとは初めてだったので、そこはちょっと緊張しましたね。五十嵐さん自身、初めての人が苦手だという噂を聞いていて。
五十嵐 そりゃあ緊張もしますよ(笑)。これまで20年くらい東映アニメーションにいて、そこから初めて外に出て一緒にやるのが業界の中でブイブイ言わせているスタジオだったわけで……(笑)。たぶん、僕のことなんて「なんぼのもんじゃい」と皆さん思っているんだろうな、って。
中山 いやいや、そんなことはないですよ(笑)。
五十嵐 もともと人と話すのが得意じゃないんです。とくに取り留めのない世間話とか(笑)。ただ、ボンズの人たちと話していて、シリーズディレクターと監督ってちょっと違うな、と思いました。監督のほうがより中央集権的なシステムだな……と。僕が冗談めかして言ったアイデアに対しても全力で事に当たるわけです。コストを度外視して(笑)。これは慎重に言葉を選ばなければいけないと最初に思いました。
髙橋 今の話を聞いて思い出したんですけど、五十嵐さんが色チェックをするとき、とりあえず上がってきたものを見て「いいですね」と言ってくださるんです。ただ、そのあとで「ここだけちょっと……」と。
中山 そこからが長い(笑)。
髙橋 でも、そういうことって大事だなと思いました。「いいですね」と言ってくれる人はなかなかいないから。
五十嵐 そうなの!?
髙橋 そうなんです(笑)。だから、五十嵐さんはすごいなって思っていました。
五十嵐 そうだったんだ。最初に「いいな」と思っているのは嘘じゃないんですよ。本気で「いい」と思っていて……。ただ、最近、撮影さんとかに「監督が最初にいいねって言ってくれたのと、(最終的な仕上がりが)全然違うんですけど」と言われるんですけど(笑)。
中山 五十嵐さんは、いろいろやっていくうちに迷路に入っちゃうところがありますよね。で、そうなったときに突然、こっちに振ってくる(笑)。「ああして、こうして」とやっていくうちに、「もうわかんないや。何かいい方法ない?」みたいな。「えっ、私が決めるの!?」って(笑)。もちろん、最終的には監督が決めてくださるんですけど、わりとそういうことがあります。
五十嵐 結構いい加減なんですよ(笑)。最初に「いい」と思っているのは本当なんです。けど、見ているうちに「こうすればもっとよくなるんじゃないか」と思う。そこがやっぱり大事で。しかも僕の提案に対して、スタッフの皆さんがさらに思考してもうひとアイデア乗せてくれる。素晴らしいスタッフです。そういう意味では、本当に周囲に助けられているなと思います。
『ホスト部』のおかげで、ボンズが僕の居ていい場所になった
五十嵐 じつはこの座談会の前に、全話見直しました(笑)。それこそ20年前のフィルムなのに、手前味噌で申しわけないんですけど、めちゃくちゃ面白かった(笑)。笠野田君の話があるでしょう(第23話「環の無自覚な憂鬱」)。あれを見ていたときに、笑いが止まらなくなっちゃって。
――自分の作品なのに(笑)。
五十嵐 「これはマズい。誰かに見られたら、おかしい人だと思われる!」と焦ったんですけど(笑)。見ていると、当時作っていたときのムードを思い出すんですけど、ネガティブな印象が一切ないんですよね。それこそ第1話のアフレコが終わったときに、南さんが僕のところに来て「次、こういう作品があるんだけど」って言われたこととか。

――もうその時点で、次の作品(『ソウルイーター』)の監督をお願いしたい、と。
五十嵐 そうそう。ずいぶん先の話だなと思ったんですけど(笑)、第1話のアフレコでそういう話をもらえるってことは、南さんからしたら「もう少しこいつとつきあっていいかな」と思ってもらえたんだろうな、と。ボンズで初めて手がけた作品が『桜蘭高校ホスト部』だったおかげで、ボンズが僕が居ていい場所になったし、その原作を描かれた葉鳥先生には本当に感謝しています。
南 あの頃って、監督自体、それほど人数がいなかったんですよね。だから、第1話のアフレコを見たときに「こんな面白い演出ができるヤツを離しちゃいけない」と。
③メインスタッフが一同に会した、アニメ『桜蘭高校ホスト部』20周年記念座談会。第3回では、当時、原作者の葉鳥先生を困惑させたという第1話の「ランプ」の謎から、色彩設計の中山しほ子が「苦労した」と話す衣装をめぐるエピソードなど、今だから話せる制作の裏側についてたっぷりと聞いた。
第1話の脚本がいちばんハードルが高かった
――葉鳥先生は当時、制作現場とどういうやり取りをしていたんですか?
葉鳥 シナリオや絵コンテをいただいて、それをチェックする、という感じですね。最初に1回だけ、会議にも参加させていただいたのかな。
榎戸 じつは僕、マンガ原作をやるのが初めてだったんですよ。
葉鳥 そうなんですか!?
榎戸 『美少女戦士セーラームーン』は原作ものではありますけど、話はほぼオリジナルだし。さっき髙橋さんが、仕事を引き受ける前に一度、自分なりにキャラクターを描いてみたって話をされていましたけど、じつは僕もお仕事を受ける前に「とりあえず第1話の脚本を書いてみよう」と。
――そんなことをしていたんですか!
榎戸 少女マンガテイストの作品というと、この前に『セーラームーン』と『少女革命ウテナ』をやっていたわけですけど、ギャグテイストが盛り込まれている作品は『ホスト部』が初めてで。そのときに考えたのが、少女マンガっていうだけでハードルを感じる人もいるだろうな、と思ったんですね。日常生活で髪の毛にカールを巻いている人がいるだけで「何これ」と思う人もいるだろう、と。そこの壁をどう越えられるかな、というのを考えていました。で、そのときに使えるなと思ったのがテロップ。もともと原作にあるテイストなんですけど、そこをさらに強調していくことで、誰でも楽しめるかたちになるかなと。
葉鳥 なるほど、なるほど。
榎戸 登場人物は全員ボケ。で、ちょっとハードルっぽい箇所が出てきたら、作り手のほうからテロップでツッコむ、と。前回(第2回)、五十嵐さんがおっしゃっていた「環の無自覚な憂鬱」はそれがいちばん極まった回かなと思うんですけど、『ホスト部』の脚本をやったことで、自分の作風がひとつ確立したところはあるなと思います。
髙橋 あとは第1話のランプ。あれがすごく面白くて(笑)。


――あれは原作にない仕掛けですよね。
榎戸 脚本をお見せしたときに、葉鳥先生から最初に「このランプは何ですか?」って聞かれたんですよね。でも、うまく説明できない(笑)。なので「これは映像で見ると、全然気にならないですよ」って言い訳をして。
葉鳥 その節はすみませんでした(笑)。
榎戸 いえいえ(笑)。じつを言うと、僕の中では第1話がいちばんハードルが高かったんです。というのも、主人公のハルヒが女の子だとわかるのが第1話のラストで。それまで登場人物は全員、ハルヒのことを男子生徒だと勘違いしているわけです。原作だとそこがわりと抽象的に描かれていて、読んでいても違和感がないんだけど、映像化したときにそこを有耶無耶にすると、見ていてよくわからなくなりそうだと思っていたんです。で、苦肉の策でひねり出したのが、ランプがひとつずつ点灯していくという手法。まず最初に勘のいい鏡夜は出会った瞬間からハルヒが女の子だと気付いていて、勘のいい部員から次第に気付いていく。最後はいちばん勘の悪い環が気づく。で、視聴者もどの段階で気づくかによって「あなたはハニー先輩レベルです」みたいな構造になるのが面白いかなって。
髙橋 めっちゃ「うまい!」と思っていました(笑)。


――制作中、中山さんが苦労したところはどういうところでしたか?
中山 各話で出てくる衣装がわりと大変だったかな。
榎戸 脚本としては、わりとサービスのつもりでコスプレ回とかを用意したつもりだったんですけど(笑)。原作にももともと新選組のコスプレをする回があったりするので、いろいろなコスチュームを着せたら、原作ファンの皆さんも喜んでくれるかなと思っていたんですけど……。でも、衣装をデザインしたり、色指定をする方は大変ですよね(笑)。
中山 着物の柄の貼り込みなんかは、今みたいキレイに貼り込みができない。それでも無理矢理(撮影で)貼り込んだりしましたね。
五十嵐 ああいう技法を使った、わりと初期の作品かもしれないですね。
中山 そうかもしれない。あ、でもこの前にある作品があって。あそこで一度、流行ったんですよね。どれだけ絵が動いていても、貼り込みは止まっているという。その作品のおかげで「ああいうやり方でもOKなんだ」と思ったんです。
アニメ版『ホスト部』と20年間ずっと一緒に生きている
――葉鳥先生のお気に入りのエピソードというと?
葉鳥 じつは私も、五十嵐監督と同じように見返してきたんですけど(笑)。語ってよければ延々、第1話から好きなところを語りたいくらい(笑)。ヅカ部のエピソードとかゲラゲラ笑って見ていて……。でも、久しぶりに見直していると、脚本の文字とか五十嵐監督の絵コンテがパッと頭に浮かんでくるんです。

――当時の思い出と結びついているという。
葉鳥 結びついていますね。年を経るごとに、なんて贅沢な思いをしたんだろうと感じます。というか、むしろこのアニメ版が私の中でいちばん大きなプレッシャーになっていて。このあと『ホスト部』は実写ドラマや舞台になったんですけど、ファンの方もきっとこのアニメ版をまず思い浮かべるんじゃないかと思うんですよ。そういう人たちに受け入れてもらうには、どうすればいいんだろうかと毎回、思っちゃうんです。それこそアニメ版が『ホスト部』という作品の土台になっていて、私は20年間ずっとそれとともに生きてきている、みたいな(笑)。それくらい大きな存在になっていますね。
榎戸 そういえば、『ホスト部』をやっていたときは、葉鳥先生と一緒にミュージカルを見に行ったりしましたよね。それこそ学生時代みたいな感じで、夜中に長電話したり。
葉鳥 していましたね(笑)。
榎戸 確認が必要なときに電話していたんですけど、先生は連載中だから、そんなにお邪魔してはいけないなと思っていて。
葉鳥 私も、榎戸さんに対して同じことを思っていました。
榎戸 でも、お互い「じゃあ、10分だけ」って話し始めたら、いつの間にか4~5時間経っていた、みたいな。
葉鳥 楽しかったですね。なんで長電話しなくなったんでしょうか(笑)。
榎戸 なんでだろう(笑)。いや、だって、アニメスタッフが連載中の原作マンガ家先生の仕事の邪魔をするのは、やっぱり駄目でしょう(笑)。そのときに「ああ、僕は作品というコミュニケーションツールで遊んでいるんだな」と当時思ったんです。子供の頃はゲームの話題とかで友達とつながっているんだけど、大人になるに従ってそれが仕事になるというか。どっちが目的というわけではないんだけど、一緒に仕事をしている人は、仕事で一緒に遊んでいる――ってヘンな言い方ですけど(笑)、そんな風に仕事に対する捉え方が変わってきた時期でもあったんです。
④放送開始20周年を記念した、アニメ『桜蘭高校ホスト部』メインスタッフ座談会。その最終回となる今回は、シリーズ構成・脚本の榎戸洋司が「頭の中の葉鳥先生と対話しながら書いていた」というアニメオリジナルエピソードの裏話、環役のキャスティング、そして『桜蘭高校ホスト部』からそれぞれが受けた影響まで話を聞いた。
頭の中の葉鳥先生と対話をしながら脚本を書いた
――榎戸さんの中で印象に残っているエピソードというと……。
榎戸 僕の中では『ホスト部』に外れなしというか(笑)、全部面白くできたなって思っています。あと「不思議の国のハルヒ」(第13話)は、原作にも出てくるエピソードなんですけど、中身はアニメオリジナルで。そこは恐々と書いていた記憶があります。頭の中の葉鳥先生と「こんなことしたら怒ります?」と、対話しながら書いていました。
中山 「不思議の国のハルヒ」は、わりとスピンオフ的なエピソードなので、作り手としては楽しかったかもしれない。


髙橋 「たくさん泣いたな」ってセリフがすごい好き。
葉鳥 そうそう、私も大好きです。久々に見て、なんて美しいんだろうと思いました。
髙橋 あらためて「好きなエピソードは?」と聞かれると困っちゃうんだけど、第17話「鏡夜の不本意な休日」の「なまはげ」ですかね(笑)。怒っている鏡夜の後ろに「なまはげ」の中吊り広告がずらーっと出てくる。あと、ハルヒの家にみんなで訪ねていくシーンも、めちゃくちゃ笑いました。すごく貧乏な家で、頬がこけたハルヒが出てくるところとか。
『ホスト部』で「やっぱりアニメは楽しい」と思えた
――監督はいかがですか?
五十嵐 前々回(第2回)話した「環の無自覚な憂鬱」で、ハニー先輩が「化けねこ」と言うシーンがあって……。
葉鳥 あそこも大好きです!(笑)
五十嵐 前後のくだりを見ると、笑いが止まらなくなっちゃうんですよ(笑)。笠野田君を可愛くしようとして、ホスト部のみんなが猫耳をつけたりメイド服を着せたり、いろいろやって。で、舎弟の男の子が傘を届けに来るんですけど、その笠野田君の姿を見て、ガチャっとドアを閉める。……僕が話すと全然面白くないんですけど(笑)、フィルムで見るとめちゃくちゃ面白いんです。ハニー先輩の「化けねこ」ってセリフも可笑しくて、ぜひそこはちょっと見てほしい(笑)。
髙橋 声優さんも、皆さんすごくお上手でしたよね。

――宮野(真守)さんが環を演じていますが、それまでの彼の印象とはまたちょっと違う役どころでしたね。
五十嵐 宮野君にはちょっと不思議なところがあって、普通はバカなことをやりすぎると「ちょっとこれ引いちゃうな」となるものなのですが、彼の場合は、カッコつけてクールなことを言っても、あるいは逆にバカなことをやっても、彼独特の天然感で全然嫌味じゃなく聞こえる。ちょっと珍しい役者さんだと思いました。
南 宮野君は『ホスト部』の前に『交響詩篇エウレカセブン』でムーンドギーをやってもらっているんだよね。顔は男前なんだけど、話すとめちゃくちゃ訛っているっていう役で。その二面性みたいな部分が環に合っているんじゃないか、というのはあったんです。それこそ『ホスト部』で(役の幅が)パッと広がった感じがしますね。
榎戸 そういえば、坂本真綾さんは『ホスト部』に出会うまで、アニメの声優の仕事は自分の居場所ではないと思っていたらしいんですよ。でも『ホスト部』で「やっぱりアニメは楽しい」と思って、そこからアニメの声優の面白さに開眼したっていう話を聞いた覚えがあります。
五十嵐 えっ、そうなの!?
榎戸 僕にとっても『ホスト部』は本当に楽しかった。そういう作品があると、たとえつらいときでも「俺の人生には『ホスト部』を作っている時期があったんだな」と思い返して、なんとか頑張れる(笑)。

――『ホスト部』での経験が、その後にも影響を与えているわけですね。
榎戸 そもそも、五十嵐監督とボンズ、僕というチームは『ホスト部』から始まって、それが今でも続いているので(笑)。
五十嵐 縁があったんだと思うんですよね。僕は東映アニメーションにずいぶん長い間いましたけど、今年ついにボンズのほうが長くなりましたから。本当にずっとお世話になっているので、いつか恩返しができればと思うんですけど(笑)。
『ホスト部』は幸せな作品
――髙橋さんと中山さんはどうですか? 『ホスト部』での経験が、後の仕事に影響したり……。
髙橋 私の場合は『ホスト部』に至るまでが長くて(笑)。ただ、それまでは「いただいた仕事を楽しめるように」と心がけていたんですけど、『ホスト部』はすごくうまくハマったというか。自分がやりたかった仕事にいちばん近い作品だったと思います。こちらから合わせていくんじゃなくて、楽しんでできた。それは『ホスト部』だけかなあって(笑)。
中山 私は少女マンガ原作がほぼ初めてで、最初は明るくてちょっと薄くて、可愛く見える色づくりが苦手だったんですよね。なので、結構『ホスト部』で鍛えられた気がします。あと五十嵐さんと初めてご一緒したのがこの作品で。結局、同じ監督で何作も一緒にやったのは、五十嵐さんがいちばん多くなったんですよね。
五十嵐 いつもお世話になっています(笑)。
中山 それはすごく幸せなこともしれないと思います。
大薮 五十嵐さんは「いいスタッフが揃った」と褒めてくれるんですけど、僕は制作デスクとしてすごく力が発揮できたかというと、決してそうではなくて。ただ、『ホスト部』は本当にメインスタッフが皆さん、力のある方々ばかりで。ある意味、すごくシンプルなものづくりができた。本当にかけがえのない人たちが集まったなと思いますし、この作品を宝物にして、いつかこれを超えるものを作りたいなと思います。
南 会社としては、作品の幅を広げてくれたのが『ホスト部』だったんですよね。個人的にも第1話が大好きだというのはあるんですけど、加えて、今でもずっと愛され続けているのが印象的で。
榎戸 不思議な作品ですよね。アニメはやっぱり放送されているときがいちばん売れて、時間が経つにつれて売上が下がっていく。でも、『ホスト部』って下がらないですよね。
南 下がらない。……というか、またここから上がりそうなんだよね。
葉鳥 そうなんですよね。
南 中国でポップアップショップをやってもらったり。今でもちょこちょこ海外の商品が届くんですよ。ずっといろいろな地域で愛され続けている作品で、そこは本当にびっくりさせられています。

葉鳥 アニメの『ホスト部』は私にはないウェットな感じがあるんですよね。私がカラッとドライな書き方をしてしまうのに対して、色気があるというか。そこは取り入れたいと思いつつ、取り入れられなかった(笑)。『ホスト部』は「幸せな作品」だってずっと言っているんですけど、それこそ声優の皆さんが一緒にディズニーシーに遊びに行ったり(笑)、スタッフの皆さんもすごく仲がよくて。関わってくれた方がみんな「本当の部活動みたいだった」と言ってもらえる作品で。こういう作品を作ることが私の目標になったし、それが私にとっていちばんのご褒美だったと思います。
日文原文链接:
原网站Febri已闭站
日文网页原图:




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