【生肉转载】Febri TALK系列——伊藤智彦

取材・文/前田 久


来源:日本深度动画内容网站Febri

采访发布时间:2021年10月4日~8日

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①「作り手の意識」を初めて感じた

『新世紀エヴァンゲリオン』

『ソードアート・オンライン』『HELLO WORLD』など、現代的なSF設定とロジカルなストーリーテリングに定評のある伊藤智彦監督。そのルーツをたどるインタビュー連載の初回はアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』。そこには、愛知県出身者ならではの強烈な体験が……。


エンタメ、キャラクター、作り手の意識、3階層のエリアで楽しめた

――1本目に挙がったのは『新世紀エヴァンゲリオン(以下、エヴァ)』のTVシリーズです。

伊藤 イシグロ(キョウヘイ)さんの回となるべくかぶらない話をしないとね。


――(笑)。いやいや、そこはあまり気になさらずに。

伊藤 あのインタビューは「似たようなことを考えているんだな」と思いながら楽しく読ませていただきました。ともあれ、『エヴァ』はアニメ業界を志すきっかけになったアニメです。テレビアニメで初めて、作り手の意識を感じた作品だったんですよね。


――「作り手の意識」ですか?

伊藤 そう。「アニメって、エンタメだけじゃないんだ」という感覚といいますか。テレビで流すアニメで、どこまで作り手のエゴを出していいのやら……みたいなことを感じる作品だったわけです。上の世代だと、富野(由悠季)さんの作品とかでそういうことを感じる機会があったんでしょうけど、俺にとってリアルタイムでそういう経験が最初にできたのは『エヴァ』だった。当時のアニメは全体的にもうちょっとカジュアルというか、いい加減というか(笑)。知り合いの言葉を借りるなら、とんねるずのやっているテレビバラエティーに近い空気のものが多かったんですよね。そうした状況のなかで「ちょっと変わりダネが出てきたな」と感じていたと、振り返ると思います。


――エンタメ的な部分には反応しなかったんですか? たとえば、キャラクターにハマったり、映像に魅了されたり。

伊藤 いや、順番に味わい尽くしています。TVシリーズの始めのうちは、すごいエンタメ感のあるアニメだったわけですしね。アニメの仕事をするようになってから、さらに感じるようになりましたけど、あのカッティングの切れ味のよさ。セリフが終わったらすぐにカットが変わる、あの編集のテンポ感ですよね。そして動くところはよく動き、動かないところはとことん動かないメリハリ感。そうした映像としてのエンタメ感から入り、次にキャラにハマる。当時は綾波レイ派かアスカ派かみたいなのがありましたけど、綾波レイ派だった気がします。で、歳をとると徐々にアスカ派になっていく。

――そこ、深掘りしたいです。

伊藤 「綾波レイ的なるもの」って、そのあとジャンル化したじゃないですか。似たようなキャラクターの系譜ができた。そうすると、揺り戻しでアスカのほうがいいんじゃないかと思えてきたわけです(笑)。あとは……綾波は何回も死んじゃうから、気持ちのキープが難しいんですよね。育ってきた2番目の綾波が死んで、また3番目を新たに、美少女ゲーム風に表現するなら「育て直す」ことになる。そういう存在の仕方が、歳をとるにつれて気持ち悪くなってきたというか。


――TVシリーズのあの展開は、メタな見方をすると、オタクのキャラクター消費の痛いところを突いている感じがしますよね。「キャラに思い入れても、所詮は作りものだぞ」みたいな。

伊藤 ふふふ。たぶん、そこを庵野さんも意識的にやられていたと思うんですよ。ちょっといじわるだなって、放送当時から思っていました。そこまで視聴者に対して冷徹になるんだなあ、と。そのあたりから作り手側の意識に目が向いていくようになって、最初の話に戻るわけです。全26話中、前半はエンタメ、中盤はキャラクター、そして終盤は作り手の意識。『エヴァ』はそんな、3階層ぐらいのエリアで楽しめた作品じゃなかろうかと思います。


――ちなみに、TVシリーズに限定した理由はあるんですか?

伊藤 軽い気持ちです(笑)。劇場版も思い入れはあります。初日に行きましたし。ただ……TVシリーズが放送していたときの“あの空気”は二度と味わえないな、みたいな思いがあるんです。俺の見ていたテレビ愛知では朝7時35分からの放送だったので、リアルタイムで放送を見てから学校にダッシュする生活をしていたんです。ミサトの「サービス、サービスぅ!」を聞き届けてから学校へダッシュ。だから例の「アヘアヘ」もすべてちゃんと見届けてから行きました(笑)。


――ははは! 第20話ですね。

伊藤 いやもう、「何を見せられてるんだ」って感じでしたね、あれは。


――庵野秀明監督とはその後、会う機会はあったんですか?

伊藤 2回ニアミスをしています。1回目は東京国際映画祭で『式日』が上映されたときのティーチイン。あのとき、客席から質問をしました。2回目はマッドハウスに在籍していた頃、『茶の味』という実写映画のなかで、アニメのラッシュチェックをするシーンの撮影が社内でありまして。そのシーンに庵野さんが役者として、監督役で出演していたんですけど、俺はその監督の話を聞くエキストラのひとりとして参加していました。それくらいの接点で、実際にお話ししたことは今でもないですね。


――それはあえて避けているんですか?

伊藤 いや、別に機会がなかっただけです。わざわざ「ファンです!」と言って来られても、庵野さんとしてもちょっとアレでしょうし。もし、お会いできたとしても「どうすればいい作品ができますかね?」みたいな実務的な質問をします(笑)。庵野さんが昔『アニメスタイル』のインタビューで語っていた「情報のコントロール」という考え方は、アニメを作る、とくにTVシリーズを作るときのテクニックとして、今でも意識していますね。


②「演出」が何をするかを学んだ

『時をかける少女』

『HELLO WORLD』『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の伊藤智彦監督のルーツをたどるインタビュー連載の第2回は、キャリアの重要な転換点となったアニメ『時をかける少女』について。細田守監督の姿から学んだ「映画」にとって大事なこととは?


そのカットで何を表現したいのかを、どこまで考えているか

――2本目は細田守監督の『時をかける少女(以下、時かけ)』。伊藤監督が助監督として参加している作品です。

伊藤 業界に入る前からの憧れの人と仕事ができた初めてのケースだったので、選んでみました。細田さんのことは、大学時代に『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』を見て「すごいな」と思っていたんです。でも、マッドハウスに入社したので、東映アニメーションの人とはたぶん接点はないだろうな……と思っていたら、たまたま細田さんがマッドハウスで作品を作ることになって、ひょんな形でご縁ができた。


――お仕事をしてみて、どうでした?

伊藤 大きな印象としては、それまで5年ぐらいマッドハウスで仕事をしてきたわけですけど、アニメの作り方のルールというか、思想が全然違うんだなと思いました。アニメ史的に言うと、自然主義と表現主義とに分けられるんですかね。前者が東映動画からの流れ、東映アニメーション、スタジオジブリ的なもの。後者が虫プロから派生するマッドハウス、あるいはサンライズ的なもの。つまり、東映アニメーションとマッドハウスは対極なスタイルの会社で、それまでマッドハウスのやり方を見てきた人間からすると、全然違う毛色の人がやってきた感じがしました。


――具体的には細田監督の「自然主義」の、どんなところに驚きました?

伊藤 その頃、マッドハウスが作っていた劇場作品のキャラクターって、川尻善昭監督の作品を思い浮かべていただくと典型的ですけど、「濃い」キャラクターを動かしていたわけです。


――影が濃厚に描き込まれたキャラですね。

伊藤 それが『時かけ』の場合、影ナシなわけで。いかに動かすかを考えて、その上でメリットがあるキャラクターデザインを見た時点で、けっこうなカルチャーショックを受けましたね。そのあとも「こんなに動かしちゃっていいんだ」と思いながら仕事をしていました。


――まさに「思想が全然違う」ですね。

伊藤 それでいて細田さんの場合、別に野放図に動かしているわけではない。現実的な動きのコントロールにいかに気を配っているかを、絵コンテと演出チェックの両方の作業段階で感じました。「演出」として、幅広いことを見ている感じがあったんですね。

――具体的にはどんなことを?

伊藤 どれもよく語られていることではありますけど、いくつかのルールを作るんですよ。影ナシ作画もそのひとつですけど、同ポ(同じ構図、同ポジション)を多く使うとか、仮想空間や異世界に入ったら輪郭線を赤くするとか。あとは写真レイアウト。写真からレイアウトを起こすことって、『時かけ』当時はまだそこまでメジャーな手法ではなかったような気がしますが、それくらい緻密なレイアウトを要求する。そういう細田さんの演出の代名詞だと当時から言われていたそれぞれのことが、アニメーション監督としての作家性につながる何かヒントなのかもしれないと思って、当時は見ていました。細田さんはそうしたものを、かなり自覚的にやっている印象だったんです。


――ただ好みでやっているのではなく、自分の作家性として打ち出そうとしていた。

伊藤 そんな気配を感じましたね。


――『新世紀エヴァンゲリオン』の回で編集の話になりましたが、『時かけ』もカットのつなぎ方が印象に残ります。真琴がタイムリープをして過去に現れるたびに、何がしかフックになるようなアイデアを入れているような……。

伊藤 そうですね。時間を扱っている作品だからかもしれませんが、場所と時間のジャンプのさせ方にダイナミズムというか、「これを省略してしまえるんだ!」という驚きがありますよね。そこも細田さんの作品が「映画的」だと感じさせる要素のひとつかもしれません。


――なるほど。

伊藤 あとは、俺は比較的それまでTVシリーズしかやっていなかったこともあって、「絵コンテ通りに作る」とずっと考えていたんです。でも、別に編集でカットを入れ替えてもいいわけですし、やれることは限定されてはいますけど、もうちょっと編集という作業を自由にしてもいいのではないかと考えさせられた、学んだ現場でもありました。編集をしながら「ここは大胆に尺を使って見せたほうが」みたいなことを考えてもいい。


――カッティング(編集)の作業の段階でカットを増やすことは、そのあとの作業量とスケジュールを考えるとアニメでは言いづらいですよね。TVシリーズでは、まず無理。でも、映画の場合はその可能性も考慮していい?

伊藤 カットを増やすかはケースバイケースですが、それすらもあり得るなと。だから、その後、カッティングの作業時に音楽がすでに上がっていた場合は、それと合わせて印象を確認するようになったんです。「映画の場合は」というより、あくまで細田さんの作り方かもしれないですけど(笑)。


――ははは。

伊藤 アニメーションは絵コンテの時点で、1秒、2秒とカットの長さが指定されている。でも、その通りにつないだからといって映画にはならない。編集しながら、疑問を持ち続けないといけない。それでフィルムの出来不出来が変わる。でも、それをやるためには、そのカットで何を表現したいのかを、どこまでちゃんと考えているかが大きく影響する。そんなことを、細田さんの姿から教わった気がします。


③TVシリーズの理想型を見た

『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』

『HELLO WORLD』『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の伊藤智彦監督のルーツをたどるアニメインタビュー連載のラストで取り上げるのは『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』。シリーズのクライマックス、第36話の魅力に今の伊藤が感じることは、果たして……!?


見れば見るほど「うまいなあ」って感じなんです

――では、3本目ですが、前の2作品とちょっと毛色が変わりますね。『新世紀GPXサイバーフォーミュラ(以下、サイバー)』を挙げていただきました。

伊藤 これは作品トータルというよりか、ラス前の第36話が好きなんです。幼少の頃、あまりに好きで、わざわざテープに音だけ録って、ずっと聞いていました。ビデオでも録画していたのに。おかげで一時期は、セリフを全部そらで言えましたよ(笑)。


――スゴい!

伊藤 で、なぜそこまで好きだったのか、あらためて大人になってから研究したんですけど、この話数は西村聡さんが絵コンテ・演出を担当されているんですね。


――『はじめの一歩』や『TRIGUN(トライガン)』の監督の。

伊藤 そう。そんなすごい方がやっていたことはあとあと知ったわけですが、つまりこれは西村さんがうまいから面白いんだなと。ある意味では『新世紀エヴァンゲリオン』より先に、作り手によって同じTVシリーズのなかでも面白さが変わることを知る、最初のきっかけだったわけです。


――スタッフの名前まで認識していなくても、何かが違う回があると知った。

伊藤 で、そこからさらに分析していったんです。まず前半、レース前の静かなところから始まって、主人公のチームのトラブルが描かれていくわけですけど、そのときのサブキャラのちょっとした挙動の面白さ。シリーズで今まで積み上げてきたキャラクターのおいしいところを最低限の手数で見せている。レーススタートの盛り上げは『ソードアート・オンライン』2期でも参考にしました。そして後半、レースに入ってからの見せ方。当然、予定通りに運ばないサスペンス感、ヒロインとのラブ感、そしてここぞとばかりの挿入歌のかけ方も、エンディングの入り方も完璧なんです。


――いやー、わかります。熱くなりますよね。

伊藤 最終話がなくても、これで終わっていいんじゃないって思うくらい(笑)。それは冗談にしても、TVシリーズとしてのある意味、理想型をそこに見たんです。


――主人公の風見ハヤトの「奇跡はこれからだ!」という逆転宣言の名セリフからの流れで終わる。美しいですよね。

伊藤 そうです。その前にランドルの「グレイスン、ティータイムだ!」とか、新条の「風見が来るからな!」とかサブキャラも熱い。


――ハヤトと公平な条件で勝負するために、ライバルがわざとピットインする。

伊藤 そうそう。ほかにも、この話数では全キャラにちゃんとおいしい場面を作ってあげていて、見れば見るほど「うまいなあ」って感じなんですよ(笑)。

――職人芸的なうまさがありますよね。見たのは年齢的には……。

伊藤 小5か小6くらい。その頃、サンライズロボットアニメが金曜の夕方の枠でずっとやっていて、『魔神英雄伝ワタル』『魔動王グランゾート』そして『ワタル2』と連続して楽しんでいたわけですよ。で、ぶっちゃけ『サイバー』はロボットアニメじゃないから、まあ、見なくていいかもって最初は思っていたんです(笑)。


――めっちゃわかります、その感覚(笑)。

伊藤 でも、そこで折しも世はF1ブームになり、俺も鈴鹿サーキットに行くぐらいのF1ファンになったんです。1991年だから『週刊少年ジャンプ』がマクラーレン・ホンダのスポンサーだった時期で、要するに若年層にモータースポーツがかなり届いていた時期だったわけです。


――ああ、しかも愛知県に住んでいたわけですよね。トヨタがあるから車文化が身近で、鈴鹿サーキットも比較的近い。

伊藤 そう。だから『サイバー』も見るようになったわけですけど、前半の話数の印象はそれほどでもなく、やっぱりシリーズの後半、なかでもワールドグランプリ最終戦からですよね、あのアニメが盛り上がるのは。俺にとってはそこからが『サイバー』というアニメであり、なかでも第36話が素晴らしい。挿入歌からエンディングに向かう流れを、ときどき見返すことがあるくらいです。そして毎回うるっとする。


――西村さんは伊藤さんの在籍時にマッドハウスで活躍していましたよね。

伊藤 ええ。『はじめの一歩』をやっているのを、同じスタジオで横目で見ていました。大変そうな作品だなあと(笑)。仕事で直接関わるようになったのはずっとあとで、『からくりサーカス』に一本だけ絵コンテで参加しています。とてもロジカルに作品を作っている方でしたね。上手・下手を意識した演出だとか、カット頭に必ず動きがほしいので、絵コンテでも1枚余分に絵を描いておいてほしいと言われました。面白かったのは、ご本人はローテンションというか、外側にあまり熱い感じを出すような方ではないのに、でもフィルムはパッションにあふれたものになるところですね。俺も西村さんと同じ、「あふれ出る情熱!」みたいな類の人間ではないんですけど、俺の場合はフィルムにもそういうところがある。だから、たまに『サイバー』の第36話を見返して、こういうノリをもっと入れないといけないなと反省するわけです。


――なるほど。

伊藤 どうしても俺は理屈で考えがちで、(同じマッドハウス出身の)荒木哲郎さんや平尾隆之さん、中村亮介さんたちが作るようなテンション感が高いフィルムにならない。でも、いつかはそういう空気感を自分の作品にも取り込んでいきたいんですよ。






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