【生肉转载】Febri特辑系列——《更衣人偶坠入爱河》Season 2:支撑高品质影像制作的「制作」工作人员

取材・文/斉藤優己


来源:日本深度动画内容网站Febri

采访发布时间:2026年3月6日~8日

本文仅供学习交流使用,版权归原作者所有,如有问题请及时联系我们以作处理。


我々アニメファンはスタッフクレジットを確認するとき、どうしても監督や脚本、演出などメインスタッフの名前に目がいきがちだ。しかし、目に見えない部分でクリエイターの作品づくりを下支えする「制作」の存在を忘れてはならない。今回はストーリーだけでなく映像クオリティの高さでも話題となった2025年夏アニメ『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』Season 2(以下、Season 2)に関わった設定制作の山本里佳子、制作デスクの梅原翔太、アニメーションプロデューサーの染野翔の3人に、トップクオリティの作品が生まれるまでの準備や苦労などを聞いてみた。


縁の下を支える「制作」と「アニメーションプロデューサー」の仕事

――まずは山本さんの「設定制作」という仕事について、具体的にどんな業務をしているのか教えてください。

山本 設定制作は、作画に使用する設定の発注や管理をする仕事です。アニメの現場はたくさんのスタッフが集まり、分担作業をしています。そんな皆さんが参照する資料として、キャラクターや小物、衣装、美術などの設定が必要になるので、それを用意する仕事があるんです。上がってきた設定を監督にチェックしていただき、OKが出たら各セクションに共有するということをひたすら行っています。また、監督やメインスタッフの皆さんと発注が必要な設定を事前に精査し、実際にどの設定を準備すべきかのすり合わせをすることも仕事ですね。

染野 Season 2では、新規のキャラクターも多く、さらに衣装の差分などもあるので、追加で200点以上の設定の作成がありました。他にも髪型の差分も細かくあったので、全体の設定のボリュームは、決して少なくはなかったSeason 1の設定量と比べても4倍ほどになっていたと思います。山本はそれをすべてひとりで管理してくれていました。

山本 この作品の前は『7FATES: CHAKHO』という作品で制作進行をしながら少しだけ設定管理をやらせていただいたのですが、余裕がなくてバタバタしてしまい、うまくやれていたのか自分ではわからなかったんです。そんなときに梅原さんが声をかけてくださって、設定制作として参加しました。スタッフの皆さんのモチベーションが高く、私自身勉強になることばかりで、やりがいのある現場でした。

染野 設定制作の仕事は発注だけでなく、スタッフがきちんと作成した設定や資料を遵守して進行しているかを確認することも重要です。忙しさや経験不足などからそれがおろそかになってしまうことが多いんですけど、山本は初めての設定制作ながら完璧と言えるレベルにやりとげていました。Season 2がおかげさまで皆さんから好評を得ているのは、間違いなく山本のおかげですね。


――「アニメーションプロデューサー」と「制作デスク」は、具体的にどんな仕事なのですか?

染野 まず一般的なアニメーションプロデューサーの仕事は、企画を成立させること、予算を立てること、そしてメインスタッフの配置です。監督と一緒に作品の方向性を決め、予算の中で良い作品を作ることを目指します。今作では、メインスタッフの大きな変更はなく、基盤の部分はSeason 1のアニメーションプロデューサーである梅原さんと固めていたものでの進行だったので、自分の仕事としては予算の管理や社外とのスケジュール調整などが主でした。

梅原 制作デスクはアニメーションプロデューサーよりも現場に近いところで、全体のスケジュール管理やスタッフの配置などの采配をする仕事です。制作進行という役職が各話について、スタッフの進捗管理や必要事項の伝達などをしているのですが、その制作進行の責任者という立場で制作に関わります。

染野 梅原さんはアニメーションプロデューサーとして活躍していますが、現場で動く制作としての能力も衰えておらず、まだまだピカイチなんです。梅原さんとしては、自分がアニメーションプロデューサーをしているとどうしても現場を離れるタイミングが出てくるため、制作進行の皆の仕事を見られないことに思うところがあったようで。だから今回はSeason 1からポジションを入れ替え、自分がアニメーションプロデューサー、梅原さんが制作デスクという役割にしました。

梅原 今回は良い作品をお届けするのは大前提なのですが、会社としてチーム全体の力を底上げしたいという思いもあったんです。弊社(CloverWorks)に制作として入るスタッフみんなが優秀なのはわかっているのですが、みんなの仕事ぶりを普段から細かく見ながら自分のやり方を見せたくて、より現場に近い制作デスクとして入ることにしました。ただ、今回は山本が実質的に制作デスクと言えるくらいの仕事量をこなしてくれました。なので、自分の肩書きは、なんでもよかったかもしれません。

染野 『着せ恋』は僕が初めて制作デスクを経験した作品なので、とても思い入れがあります。それこそSeason 1のときは自分も監督の篠原(啓輔)さんをはじめ多くのスタッフと仕事をするなかで、青春と言えるような時間を過ごしました。そんな作品に今度はアニメーションプロデューサーとして関われるのは本当にうれしかったです。「絶対に良いものにしなくては」と感じていました。

梅原 あとこれは業界内でしかすごさが伝わらない話かもしれませんが、第15話とOPの動画はすべて弊社スタッフだけで回しているんです。これができるアニメスタジオはなかなかなく、じつは相当すごいことをしているんですよ。同じく第15話では、これまで弊社の多くの作品を助けてくれたスーパーアニメーターの吉川知希さんが、キャリアで初めて絵コンテ・演出として入ってくださったんです。吉川さんは絶対に今後もいろいろなところで活躍されるクリエイターなのですけど、そんな方の初演出の話数を一緒に作らせていただけたことが光栄です。


作品のクオリティを支えたのは膨大な量のロケハン

――本作は設定資料だけでも膨大な量だったとのことですが、制作業務でとくに大変だったことは?

染野 思い返すとSeason 1のときは、あくまで今までのアニメ制作工程の延長線上の中で精度を上げて作っていたと思います。Season 2はより『着せ恋』らしさを追求しつつ、こういうロケハンをしたい、こういう資料をそろえたいという篠原監督はじめ現場スタッフの要望をできるだけ実現できるよう環境を整えることができました。今回はロケハンの量が過去に自分が経験している作品と比べても倍以上はあったので、その準備も大変でした。ですが、これくらいやらないと、クリエイターの熱量に応えられないと思ったので、こちらも環境を整えなければと思ったんです。

山本 たとえば、第14話の後半と第15話で海夢(まりん)が着ていた、雫たんの袴(はかま)。アニメーターさん向けに袴の構造がわかる資料が必要と思い、原作の福田(晋一)先生も参考にされた着付け店さんを取材し、同じような衣装を実際に着させていただいたんです。細部の写真や、動いたらどんな感じになるのかイメージをつかむための動画を撮影し、資料としてアニメーターの皆さんに共有していました。また、Season 1は制作時期がコロナ禍でコスプレイベントが縮小していて、当時も取材をしたのですが、お客さんが少なかったんです。Season 2であらためてイベントの取材をさせてもらったのですが、以前とは比べものにならないほどお客さんが多く、熱気もすごかったです。その取材を受けて、イベントの描写で周囲のモブを増やすこともあったので、取材してよかったと思いましたね。

――ロケハンと言ってもただ舞台のモデルとなる場所へ行くだけでなく、皆さんの体験も含めた取材をしているわけですね。

染野 皆さんはロケハンと言われたら舞台となる場所の「風景」の取材を思い浮かべると思うんですけど、『着せ恋』では芝居を含めた、言うなれば「シチュエーション」のロケハンがすごく多かったんです。この作品はアニメなので、現実の芝居をすべてトレースするわけではないのですが、「実際にこの場所でこの芝居をすると、どのように見えるのだろう?」ということを体験としても一度把握し、それを踏まえてアニメの表現に落とし込む。その作り方を監督はじめ、スタッフの皆が意識していました。そしてその要求に応えられるスタッフの力もあり、この作品は取材をすればするほど、クオリティが上がっていったと思っています。

山本 あと篠原監督は、季節感の表現にもこだわっていました。Season 2は物語の季節が夏休み明けから冬にかけてだったので、イベント取材をする時期もちょうど1年前の秋くらいだったんです。篠原監督と池袋・サンシャインシティのコスプレイベントを取材したときは、イベントの様子だけでなく、周りの風景を確認して美術担当の方々に共有していました。

染野 他にもSeason 1からご協力いただいている鈴木人形さんに引き続き取材をさせていただき、道具のことなど素人にはわからない雛人形の知識をお聞きしました。他にも多数、取材に協力いただいたところがあり、すべてをご紹介はできないのですが、一例を挙げると、自分がすごいなと思ったのはCOSPLAY MODEさんにご協力いただいたメイクの取材ですね。篠原監督や衣装デザインの西原(恵利香)さん、そして山本が主に参加し、皆で実際にメイク道具の使い方なども見させていただき、試しながら取材されていたのを覚えています。

山本 メイクでいちばん取材をしたのは、男装メイクでした。女性キャラクターのメイクはSeason 1のときにも調べて、ある程度私たちも知識はあるのですが、取材をしたところ女性キャラクターと男性キャラクターではメイクのポイントが違うということを聞きまして。西原さんも監督も「勉強になった」とおっしゃっていたのが印象に残っています。私も仕事のことだけでなく、服やメイクについての学びがたくさんあった現場でした。

2025年夏アニメ『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』Season 2(以下、Season 2)のクオリティを支えた「制作」スタッフたちに話を聞くインタビュー企画。第2回ではSeason 2の制作で行ったロケハンの話題を中心にお届けする。リアリティあふれる映像の裏には、綿密な取材があったことを知ってほしい。


カラオケのシーンは声優さんの動きがヒントに!?

――前回はロケハンの話をいろいろ聞きましたが、取材の中で皆さんの印象に残っているものは?

染野 前半の話数だと印象に残っている取材は、第13話のカラオケです。山本たちスタッフ数名が菅谷乃羽(すがやのわ)役の武田羅梨沙多胡(たけだらりさたご)さんと実際にカラオケへ行き、ロケハンをしていたんですよ。「どういった取材になるんだろう?」と思っていたんですけど、きちんと第13話に反映されていて驚きました。

山本 作画さんに乃羽の歌っているときのイメージをつかんでもらうために、武田さんにご協力いただき、カラオケで乃羽と同じように歌っていただいたんです。そのときの武田さんの動きが第13話の作画に活かされていました。声の出し方やリズムの取り方など、細かいところまで再現していただきましたね。


――前半話数といえば、女装コスプレをする姫野あまねの登場が印象的でした。女装については、どんな取材をしたのですか?

染野 女装については、主に道具の取材が多かったですね。姫野あまねというキャラクターは男性ですが、ほぼ女性にしか見えないという要素があるので、そのためのメイク道具はどのようなものがあるか、という点を調べていました。メイク道具以外でも女装の道具の取材はいろいろありまして、印象に残っているものだと、あまねが胸を作るために使っていた「おっぱいNEOsister」という道具があるのですが、実際に篠原監督が試しに装着し、新菜(わかな)と同じように恥ずかしがっていたのを覚えています(笑)。

山本 あまねの作画はほぼ女性キャラクターと同じように描かれているのですが、キャラクターデザインの石田(一将)さんが細部はしっかり男性に見えるようこだわっていました。作画資料を見返すと「手は男性のものです」と注意書きが入っています。こういうキャラクターの表現は皆さんとても気を使っていた印象です。

――文化祭のエピソードに関しては、実際の高校を取材したのですか?

染野 海夢(まりん)たちの通う学校のモデルにさせていただいている千葉県の柏の葉高等学校にご協力いただき、登場するさまざまなシーンの参考にさせていただきました。とくに参考になったのは、実際の文化祭を取材させていただいたことですね。高校の文化祭は、教室だけじゃなく、廊下など、そこかしこに生徒さんたちがアイデアを凝らした装飾があるじゃないですか。実際にどんなものがあるのか、きちんと見ておけたことで、今の高校生のリアルに近い文化祭の光景が描けたと思っています。


第19話は「リアル」よりも「感動の演出」を重視

――第19話はカメラにフィーチャーした回で、キヤノンさんの実際のカメラが登場したことも話題となりましたね。

山本 篠原監督は登場人物が持っているカメラにもこだわりがあって、海夢と涼香さんが使用しているカメラの機種が何なのか、脚本会議の段階で話題に上がったんです。福田(晋一)先生にお聞きしたところキヤノンさんの「ミラーレスカメラ EOS Kiss M2」がモデルとのことだったので、アニメで使用できないか、キヤノンマーケティングジャパンさんに連絡を取り、許諾を取ることができました。

梅原 「ミラーレスカメラ EOS Kiss M2」はすでに生産終了して資料を購入できなかったので、キヤノンさんにお願いして何度かお借りしたんです。先方のルールでレンタル期間は最大1カ月だったのですが、1カ月で資料を撮りきることができず、結局何度もお借りすることになってしまいました。そのたびにキヤノンさんへ連絡を取っていた山本は大変だったと思います。

山本 キヤノンさんにはご迷惑をおかけしたのですが、おかげで作画だけでなくシャッター音も実際のものを録音して使うなど、細部にまでこだわることができました。何度もやり取りしていたので窓口担当の方とも仲よくなり、放送後は「家族で見ました」とご連絡くださったんですよ。視聴者の方の反応もよかったので、こだわってよかったと思っています。


――新菜が海夢を撮影するシーンは、新菜の一人称視点の演出も合わせてすばらしかったですね。あのシーンの制作裏話も、ぜひお聞きしたいです。

染野 海夢と新菜が撮影をしていた公園のモデルは、埼玉県の大宮公園という場所です。そこへ、演出を担当した副監督の山本(ゆうすけ)さん、美術設定の根本(洋行)さん、そして制作、という一般的なロケハンメンバーだけでなく、担当する作画さん、CGディレクターの任さんも一緒にロケハンに参加し、まず3Dマップと呼ばれる簡易的な3Dモデルを作りました。その3Dマップをもとに海夢と新菜の動きをシミュレーションしてカメラワークを決め、あとはその実力のあるアニメーターさんのお力を借りてキャラクターの動きを作り上げました。さらにその3Dマップに背景のデータを落とし込み、映像として仕上げてもらいます。チームの連携によって完成したシーンなんです。

梅原 じつはあのシーンで見せている写真の質感は、全然リアルではなく、だいぶフィクションが入っているんです。アニメというか映像作品は、そもそも普段から登場人物にカメラがフォーカスして背景などをぼかして見せています。なので、カメラで撮影した写真をそのまま再現しても「周りがボケていて画質もいい」という新菜の感動に説得力がないんです。だから、あのシーンはリアルに見せることよりも「新しいカメラを手に取ったときの感動」を表現するため、実際にカメラで撮影した写真の質感よりもだいぶ誇張したカットになっています。こだわったおかげで第19話はギリギリの納品になってしまったのですが、おかげで反響はよかったですね。

染野 梅原さんが話した感動の表現を実現できたのは、背景美術の力も大きかったと思っています。良いカメラで撮影した写真と質感の差を表現するには、通常のシーンのカットと写真のカットで差を出さなくてはなりません。写真のカットを美しく見せるためには、一連のシーンでの背景の描き込みと美しさも必須です。アニメーターの作画のクオリティが高かったのはもちろんですが、根本さんの美術の力がなくては完成しないシーンだったと思います。

梅原 脚本・絵コンテ・演出を担当された山本ゆうすけさんの力も大きかったです。山本さん初監督の『ぼっち・ざ・ろっく!』2期に向け、山本さんの強みを確認したかったのですが、しっかり『着せ恋』のテーマや雰囲気を理解し、第19話をすばらしいものにしてくださいました。山本ゆうすけさんは副監督もやりつつ、他に第14話、第23話の絵コンテ・演出も担当していて。普通に考えればとんでもない仕事量なのですが、すべてを高いクオリティでこなしていました。本当にすごいクリエイターだと思いますね。


大量の「貼り込み素材」も作品レベルを上げる一助に

――後半の『棺』合わせのエピソードについても、ぜひ印象に残っている取材や制作裏話を教えてください。

山本 第24話で海夢たちが『棺』の撮影をしていましたが、あのカットにもロケハンの成果が出ています。原作と似た雰囲気の黒ホリのスタジオを借りて、食卓を用意し、実際に海夢たちと同じようなポーズで写真を撮ったものを参考にしました。また、撮影の途中から服に血糊が付くのですが、血糊を作画するととても大変になるので、血糊の貼り込み素材を用意して撮影さんに貼ってもらう処理をしたんです。キャラクター6人分の血糊の貼り込み素材を用意し、「このように貼ってください」と参考資料を渡しつつ撮影さんに指示を出していました。貼り込み素材にしたことで、作画するよりもリアルな血の質感になりましたね。

染野 山本が話した貼り込みの作業って、撮影さんからするとものすごくハードなものなんです。動いているキャラクターに合わせて貼り込み素材を変形させながら1カットずつ貼らなければならないわけですから、撮影の皆さんは大変だったと思います。そんななかでも、自然な見た目になるように貼り込みの微細な調整を、撮影さん自ら何度も試行錯誤してくれました。スタッフ全員が「少しでも良い映像をつくりたい」と同じ方向を向いて作業ができたのは、設定制作として山本が事前に「こうしましょう」とすり合わせをして、意思統一ができていたからだと思います。

山本 撮影さんたちの負担を減らすため、貼り込み素材を減らす工夫もしていました。たとえば、第23話に登場したジュジュ(紗寿叶)のブラックロベリアのコス。あの衣装は原作だと柄がたくさんあるのですが、そのまま再現すると撮影さんをはじめ、スタッフの皆さんの負担が大きくなってしまうので、衣装デザインの西原(恵利香)さんと篠原監督と相談し、原作と印象は変えずに要素を減らせるよう、情報を整理しました。また、篠原監督たちから「貼り込みをこういう風に見せてほしい」という要望も多く受けていたので、撮影さんに伝えながらテストを繰り返し、きれいな貼り込みの見え方にこだわりました。

染野 ちなみに衣装だけでなく、ちょっとした瓶のラベルや本の表紙など、おそらく貼り込み素材も自分が知りうるテレビ作品の中で最も多かったと思います。現代の作品をつくるときは、登場する小物に視聴者が見慣れているものが多く、「これはリアルじゃなくない?」と違和感を与える可能性が高くなります。その違和感を与えないようにこだわっていくと想像以上に多くの素材が必要になるんです。そんな大量の貼り込み素材を管理して、すべてに「こういう風に貼ってください」と根気よく指示をまとめ、付け加えていた山本の仕事が本作のリアリティを支えていました。

2025年夏アニメ『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』Season 2(以下、Season 2)のクオリティを支えた「制作」スタッフたちに話を聞くインタビュー企画。第3回は作中に登場した個性的な劇中作、各スタッフの思い入れのあるシーン、そして皆さんがどのような気持ちで作品づくりに臨んでいたのかを引き続き聞いた。


本編との差別化を狙った劇中作へのこだわり

――コスプレをテーマにした本作には、数多くの劇中作が登場しました。アニメやゲームなどさまざまな作品がありましたが、それぞれの画面づくりのコンセプトやこだわりを教えてください。

山本 劇中作で篠原(啓輔)監督がこだわっていたのが、本編と見せ方を変えつつ、それぞれを差別化することでした。たとえば『スペースアイドル コスモラバーズ(コスラバ)』は昴や作中キャラクターたちのイラストが実際のゲームっぽい雰囲気になるよう、特効処理によってゲーム画面に近い質感を出していました。『こちら月夜野♡カンパニー(こちカン)』は、キャラクターデザインをお願いした五十嵐海さんの特徴的な線が作品の魅力になると思ったので、あの個性を消さないようアニメーターさんたちにお願いしていました。というのは、動画作業に入る段階できれいな線に整えられることが多いので。そうなると『こちカン』らしさが薄れてしまうため、線の揺れを残してほしいと動画検査さんにお願いしたところ、動画担当者向けの指示書を作ってくださって。そのおかげで五十嵐さんの味のあるデザインそのままに映像化することができたんです。

染野 そのあとの『生徒会長はNo.1ホスト(生ホス)』は、現代を舞台にした作品でいちばん「着せ恋内の現実」に近かったので、差別化には気を使ったかもしれません。『生ホス』にある繊細な表情の機微と柔らかなデザインを表現できる高橋沙妃さんにキャラクターデザインをお願いしました。また、背景美術も『生ホス』ではデジタルのみの作業ではなく手描きの実線も使った背景美術を使用してもらっています。これにより『生ホス』ならではの温かみのある雰囲気を出すことができました。他にも『棺』は原作マンガでどんな雰囲気の画面なのか描写がなかったので、原作者の福田(晋一)先生へのヒアリングをもとに、まず篠原監督から「絵柄の可愛らしさでも人気を博したインディーズのゲーム」というイメージが出て、さらに現代の作品ではあるが、デザインとしてドット絵を使用しているようなゲーム」という方向に固まっていきました。ドット絵というものは、色の配置やグラデーションの表現など、統一したセンスで作り上げなくてはいけないものになります。そのため、分業のスペシャリストであるアニメ業界の人間ではなく、アニメ以外の文法で作ったほうが良いのではないかとなり、絵柄の雰囲気や色使いが最もイメージに合う方を探し、イラストレーター・マンガ家のなるめさんにピクセルアートをお願いしました。絵柄だけでなくホラーらしい演出と音楽によっても、『棺』ならではの雰囲気を出せたと思っています。


意見をぶつけ合い作品を作ってきた制作現場

――ここまで制作裏話的な話を聞いてきましたが、ぜひ皆さんの思い入れのあるシーンも聞かせてください。

山本 全部好きなエピソードなのですが、いちばんは第13話、カラオケ店に入った新菜(わかな)が周りの発言から過去のトラウマを思い出したシーンです。篠原監督の絵コンテを最初に見たとき、「ここで新菜の心象風景を入れるのか」と驚かされたのですが、完成したラッシュ(仮編集映像)を見たら自分の中でこみ上げるものがあり、なんだかウルッと来てしまって。あれは『着せ恋』の物語の始まりと言っても過言ではない、きっかけの出来事なので、何度見ても印象に残りますね。

染野 やはり第18話の文化祭のクライマックスが、すごく印象に残っています。第18話のエピソードをアニメ化するとなった際、僕は素人考えで、新菜が「俺が喜多川さんを1位にしてみせる」と決意しながらメイクをするシーンがテンションの最大位置になるのかなと思っていたんです。原作でも見開きで描かれていた、印象に残る場面ですからね。でも、アニメの演出家は、原作の魅力を引き出しつつも、アニメの1話数を考えたときに、どう見せればいちばん心地よいタイミングで感動を最高潮まで引き出せるのかを考えながら、さまざまな演出で作り上げていきます。新菜の見せ場をしっかりと印象的に見せながらも、海夢(まりん)のステージ上でのパフォーマンスまで緊張感をつなげたからこそ、舞台の海夢がすごく見応えがあって。音楽が付き、つながった映像を最初に見たときは、お客さん目線で感動してしまいました。

梅原 ちょっと内輪話みたいになってしまいますが、第17話の絵コンテを担当された若林信さんと篠原監督のやり取りが印象に残っているんですよね。Season 2全体を振り返ると第17話はいちばん原作から逸脱した、アニメスタッフ側の個性が出ている回でした。篠原監督は当初若林さんの絵コンテに「これは原作を逸脱しすぎだ」と反対し、ひと悶着あったんですけど、そのとき若林さんが篠原監督に「この絵コンテは自分から篠原監督へのエールのつもりだ」とおっしゃっていたんです。篠原監督は本来とても作家性の強い方なのですが、『着せ恋』の作業ではつねに原作をリスペクトし、自分の作家性を出すのではなく原作の魅力を引き出そうとしてきました。若林さんはそんな篠原監督の思いを理解しつつも、私たちアニメスタッフはときに原作にないものを描かなければいけないし、原作の余白を埋めながら、原作とは違ったアプローチで作品の魅力を引き出していかなければ、自分たちは前に進めない。そういう意味で、この絵コンテが篠原監督へのエールなんだと。若林さんみたいな絵コンテを描かれる方は日本にはいないので、僕自身もすごく刺激を受けましたね。


――第17話といえば、冒頭で雛人形の作り方を教える人形劇が入りました。あれも若林さんのアイデアなのでしょうか?

梅原 そうですね。絵コンテの段階で教育番組的な人形劇のシーンを入れるアイデアが上がってきまして。一流のクリエイターの方にお願いしたいとなり、人形操演の山田はるかさんにお願いしたんです。

染野 山田さんはNHKの教育番組などでご活躍されている人形劇のプロフェッショナルです。対して我々は人形劇についての知識などまったくない門外漢なのですが、演出の意図や熱意などを伝えたところ、快く引き受けてくださいました。その後、山田さんから人形制作や背景セット、ライティングなども熟練スタッフの方々をご紹介いただき、撮影までこぎつけることができました。

梅原 若林さんも人形劇の経験はありませんでしたが、目指すべきイメージはしっかりと作り込まれていて、山田さんに演出の方向性などを伝えてくださっていました。若林さんが一流のクリエイターだったからこそ、分野の違う山田さんにも的確なディレクションができたのでしょう。

染野 若林さんのディレクションでは、背景セットの角度を微妙に変えたり、草花一本の位置に至るまで細かく調整するなど、撮影現場でもすごく細かい調整がされていたんですよね。協力いただいた撮影スタッフの方もそのこだわりに応えてくださり、いろいろな提案や試行錯誤をしてくれました。アニメとは分野が違うとはいえ、ひとつの作品をつくり、それをより良いものにしたいという部分は共通していたので、良いものができたと同時に、アニメスタッフの皆も刺激され、良い経験も積むことができたと思います。


根底にあったのは「福田晋一先生への恩を返したい」という気持ち

――梅原さんはSNSで「Season 2は班の中でも歴代トップのクオリティ」と投稿していました。梅原さんの、本作への思いを聞かせてください。

梅原 自分の意識としてはつねに、ヒット作の続編とか関係なく、どんな作品でも関わった以上はいいものにするというだけです。でも『着せ恋』はそもそもSeason 1のヒットがあったからこそ、このチームでアニメを作り続けることができました。だから個人的には『着せ恋』、そしてこの作品を生み出してくれた福田先生への恩に報いたいという思いはありました。アニメの反響がどれだけ原作の売上に影響しているのかは我々にはわかりませんが、少しでも恩返しができていたらうれしいですね。


――最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。

山本 キャラクターの衣装から小物など、映像に登場するものすべてに担当いただいたスタッフのこだわりが詰め込まれています。テロップの文字も注目ポイントのひとつです。グラフィックデザイナーの濱祐斗さん、山口真生さんとともに、文字の配置や色味などを調整しながらそれぞれのシーンに合わせて作っています。見返す際はぜひ、そういった細かなポイントまで見てほしいです。

染野 自分たちが細部にまでこだわるのは、細部を見てほしいというよりは、視聴のなかで感じる違和感を少しでも減らし、見ている方々がストーリーやキャラクターのお芝居に集中して楽しんでいただくためです。ですが、山本がお話したとおり、すべてのスタッフがこだわりを持って作っていたからこそ、細かい見方に耐え得る作品となりました。ぜひいろいろな楽しみ方をしていただけたらと思います。

梅原 原作者の福田先生は、まさに自分の人生をかけてこの作品を描かれていました。だからこそ、自分たちも『着せ恋』という作品に人生を賭(と)し、少しでもいいものにしたいという一心で作ってきたんです。ですが、そんなことはお客さんには関係ありませんので、自分としては「何も考えず、気楽に楽しめる作品」になっていたら、本当になによりなんです。このアニメを通じて、皆さんが「続きの物語を知りたい」「原作を読みたい」と思ってくださっていたらうれしいですね。







日文原文链接:

原网站Febri已闭站

日文网页原图: